カンヌ受賞作「万引き家族」に「クリーニング業界」から異論噴出のワケ

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大ヒット作の影響力

 カンヌ映画祭の最高賞たるパルムドールに輝き、興行収入も40億円を超えたという。作品が高く評価され、ビジネスとしても大成功を収めた。現在もロングランが続く「万引き家族」[是枝裕和監督(56)/ギャガ]のことだ。

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 ここまでの“社会的現象”となると、映画を巡る言説もバラエティが桁違いになる。当初は「『万引き家族』のカンヌ受賞は世界に恥をさらすものだ」と批判されり、林芳正文科大臣(57)の「対面して祝意を伝えたい」という意向に、是枝監督は「公権力とは距離を保つ」と辞退するなどの問題が勃発したりした。

 これに対して擁護派は、映画のクオリティを指摘することで反論していたりしたのだが、現在はとっくにそんな段階を通過している。現在、我々が目にするのは「万引き家族」を巡る多様な言論だ。

 例えばWEBマガジン「リアルサウンド映画部」は首都大学東京の宮台真司教授(59)の「月刊映画時評」を連載している。

 そして7月15日にアップされたのは「宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り」だ。

 一方で「週刊実話」(日本ジャーナル出版)は7月7日(電子版)で「映画『万引き家族』松岡茉優 JK風俗嬢実体験で習得した“舌遣い”」という記事を掲載した。

 では、少しだけ双方の雰囲気が伝わる部分を引用させていただく。まず前者だが、

《『万引き家族』は[法外=直接性/法内=間接性]の図式を用いて、そこに[本物/偽物]という図式を重ねます。realismから見て「法外=直接性」は本物、「法内=間接性」は偽物。システムによって間接化された「法内」の存在は、ontologyが摩滅した偽物です。映画では「法の奴隷」と「言葉の自動機械」という偽物が溢れるこの社会への怒りが示されます》

 という難解で高尚な文章。対して後者は、役作りのために松岡茉優(23)が風俗店に潜入したという記述の後に、

《さらに、チャイナドレスやスクール水着といった有料オプションもあるのだが、松岡は興味津々。
「とりわけ、“学校机と椅子覗きプレイセット”“魚肉ソーセージ”という文字に強く反応したそうです。前者は、机の下からスカートの中を覗き見するプレイ。後者は、ソーセージを、ある物に見立てて舌を使ったプレイですから、彼女もよく分かったはずです」》

――といった具合だ。学術論文に近い内容から、単純明快な下ネタまで、その幅の広さには驚かされる。

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