韓国地裁が「マジンガーZ」のパクリを否定した「テコンV」妥当な判決か?

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「マジンガーZ」と「テコンV」の違い

 それでは、韓国アニメの専門家は、今回の判決をどのように受け止めているのだろうか。『韓国アニメ大全』(パブリブ)の著者、かに三匹氏は「妥当な判決だと受け止めています」と総括する。

「もちろん私は著作権の専門家ではありませんし、判決も報道以上のことは把握していません。ただ被告である“J氏”は、許諾も得ず『テコンV』を模倣した玩具を製作していた人物のようです。著作権を無視したビジネスを展開していたにもかかわらず、訴訟で開き直ったかのように主張したのが『「テコンV」はパクリだから、私は無罪』という大義名分の乏しい論理でした。こうした暴論を、単に裁判所が退けたという側面も強いはずです」

 かに三匹氏は「『テコンV』に『マジンガーZ』に類似した設定が多数認められるのは事実です」と指摘する。

「『マジンガーZ』の開発者である兜十蔵博士は、主人公である兜甲児の祖父です。一方、『テコンV』はキム博士が完成させ、主人公は息子のキム・フンになります。共に血縁関係で結ばれていることになります。また『マジンガーZ』では“パイルダー”という小型の飛行機が頭部と合体し、兜甲児は操縦が可能となります。『テコンV』も極めて類似した小型飛行機が頭部の中に収納され、やはり操縦ができるようになるのです」

 だが、オリジナリティが皆無かと言えば、そんなことはないという。「テコンV」独自の魅力もふんだんにある。

「『マジンガーZ』は、そのメカ性が最大の魅力です。ジェットスクランダーと合体して空を飛び、ロケットパンチ、光子力ビーム、ブレストファイヤーなど、攻撃する“武器”も非常に豊富です。戦闘シーンでは、そのつるべ打ちが魅力の1つとなっています。一方の『テコンV』ですが、主人公はテコンドーのチャンピオンです。そして『テコンV』はテコンドーを必殺技とするロボットという設定になっています。そのため戦闘シーンはロボットが人間に近い動きをすることで敵と戦います」

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