現在も色褪せない“怪物江川”に挑んだ気迫――「夏の甲子園」百年史に刻まれた三大勝負
「夏の甲子園」百年史に刻まれた「三大勝負」――門田隆将(2/3)
これまで数多く登場してきた怪物投手の中で、なんといっても話題を独占したのは昭和48年夏の作新学院・江川卓だろう。その江川に初戦で挑んだ福岡代表の柳川商の戦いは、これまた歴史に残るものだった。
この年の選抜甲子園で、奪三振記録を43年ぶりに塗り替えた江川は、夏の栃木県予選でも投球回数44で実に奪三振75、決勝を含む3試合がノーヒット・ノーランという怪物ぶりを見せつけていた。
柳川打線は、その江川に対してバントの構えから投球に合わせて一旦バットを引き、そこからコンパクトに振り抜く「プッシュ打法」で挑戦した。...