“ヒノキ造り”のカプセルホテル誕生 香で観光客を引き寄せ

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 吉野山といえば「桜」である。

 かつては豊臣秀吉が花見に訪れ、さらに時をさかのぼれば、西行が庵を結んだともいわれる、言わずと知れた桜の名所である。

 もっとも、本稿の主役は「吉野桜」ではなく「吉野檜」。このほど、天井や壁など内装の大半を吉野檜で覆ったお宿が近鉄奈良駅前にお披露目と相成った。それも、瓦葺きの入母屋屋根に漆喰の壁の日本旅館……ではなくカプセルホテルだというから興味は増す。

「小さい頃から檜の匂いが大好きで、世界中の人たちに吉野檜の匂いを感じてほしかった」

 とは、「奈良の森ホテル」と名付けられたその宿の主・元池千弘氏(46)だ。もちろん吉野の出身で、200年以上にわたって吉野の美林を守り続けた家系の出だという。しかし、

「中学の頃にした短期留学をきっかけに、高校はアメリカの学校へ。そのまま21歳で帰国するまで、アメリカで生活していました」(同)

 そんな元池氏のかつての夢は飲食店の経営だったといい、

「5年前には総吉野杉造りの食堂を地元で開店。今回も飲食店用の物件を探していたのですが、昨年の5月にこの物件に出会い、一目惚れして購入したんです。ビルの3、4階を、檜をあしらった和テイストのホテルフロアに。1階には和食処を、屋上にはビアガーデンをオープンさせました」(同)

 ちなみに、宿泊費はカプセルタイプが1泊3800円(税別)〜。

 吉野檜の香で観光客を引き寄せる。

週刊新潮 2018年8月9日号掲載

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