あの“ドン”が掻き回す竹下派 総裁選めぐる分裂

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 朝顔が見頃を迎えている。『伊勢物語』では〈夕かげ待たぬ花〉と、移ろいやすさの象徴として描かれた花だが、自民党の移ろう派閥も見頃を迎え――。

 竹下亘総務会長(71)が率いる平成研究会が、9月の総裁選を前に割れている。〈竹下派、安倍首相支持で調整〉と、新聞に載った2日後の7月28日、参院竹下派が石破茂氏支持で調整することを明らかにしたのだ。参院竹下派は、これまでも独立した行動を取ってきたが、今回の分裂については、

「竹下会長の優柔不断さが生んだ軋轢(あつれき)ともいえる」

 と、政治部デスクは語る。

「今年3月、竹下氏が会長に内定してすぐの講演会での一幕が分かりやすい。半年後の予測は難しいと前置きして、『基本は首相支持』だが、『一番政策的に近いのは岸田派』、石破派への支援は、『ないとは言えない。ただ、あると言える状況でもない』と、多方面に秋波を送っていた。派閥の中堅議員も呆れていました」

 その後も、煮え切らない態度を続ける竹下氏に対し、

「早く支持の方針を固めないと、その後の閣僚人事にまで影響が出てしまう」(派閥議員の一人)

 と、不満は続いていた。

 そこで、一本化に動いたのが竹下登元首相の側近で、かつては参院のドンと言われた青木幹雄元参院議員会長(84)だ。引退してから8年が経つが、いまだ威光に陰りはない。

「息子の青木一彦参院議員は前回参院選で、鳥取・島根選挙区から出馬し、石破氏の支援を受けて当選している恩義がある。7月25日には、竹下会長と吉田博美参院幹事長の両名と面会して、石破支持の要請をしています」(先のデスク)

 島根県連の先輩で、兄・登の右腕だった青木氏の意向は竹下氏も無視できない。

「ただ、安倍首相に近い茂木経済再生相ら派閥の中心議員から槍玉に挙げられるのは避けたい。竹下派は自主投票にするのでは」(同)

 移ろいすぎて、花咲かず。

週刊新潮 2018年8月9日号掲載

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