痛みに耐えて? 被災地訪問の安倍首相、足を引き摺って…

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 痛みに耐えてよく頑張った――かの小泉純一郎氏は総理時代、優勝した横綱・貴乃花を土俵上でこう褒め称えた。

 翻って7月21日。安倍総理は、股関節周囲炎の発症で先延ばしとなっていた、西日本豪雨最大の被災地・広島県の視察を行った。

「ようやく炎症が落ち着いた、ということなのかと思ったのですが……」

 とは、官邸担当記者。

「被災地を歩く際に、少し足を引き摺っていました」

 そういえば総理、この前日の国会で、内閣不信任案に反対票を投じるために階段を上る際、手摺りにつかまっておられた。症状は未だ思わしくないようだ。

 つまりこちらも“痛みに耐えて”の視察だったわけ。

 もっとも、貴乃花のように、“よく頑張った”と褒められる話じゃない。むしろ、今回の災害については、初動対応の遅れが批判にさらされている。

 そこで、かっこいい視察シーンだけを報じさせて名誉挽回を図るためか、視察に同行できるメディアは記者クラブ所属の方々のみ。お声がかからなかった本誌(「週刊新潮」)は御一行を、遠くから見守らせていただいた次第だ。

「痛みを押しての視察には、別の狙いもあるのでは」

 と、政治部デスクは訝る。

「9月に迫った総裁選です。総理は、永田町でこそ優勢ですが、こと地方になると、ライバルの石破さんに押されている」

 事実、前々回の総裁選で地方票では石破氏に敗れた。

「今回はそれを防ぐべく、滋賀や大阪など、足繁く地方を回っています」(同)

 さらに災害地視察では今回の広島以外、岡山、愛媛もすでに訪れた。むろん、ライバルの石破氏は入れていない。

「しかも、石破さんは災害対応優先という理由で、国会会期末直後の予定だった総裁選への出馬表明を先延ばしにせざるを得なくなっている。そのせいで選挙活動期間は削られています」

 痛みに耐える総理の視線は、あくまで3選に注がれているのだ。

週刊新潮 2018年8月2日号掲載

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