夏ドラマ「石原さとみ」と「綾瀬はるか」の“怪演”で思い浮かぶ“2人の名優”
「義母と娘のブルース」綾瀬はるか
一方その頃、事件はTBSでも起きてまして、その現場が「義母と娘のブルース」。
男勝りのバリバリのキャリアウーマン(……)が、妻と死別した同業他社リーマンと結婚して退社、連れ子の娘にママとして、さてどう向き合うか。そういう物語の枠組みは、一見ありきたりでデジャヴュまみれだし、その主人公を演じるのが、決して器用とは言えない綾瀬はるかなんだから、どうせまたキホン生真面目に、キホンまっすぐに、演るんだろうしなぁ……。
というわけで、正直、放送が始まるまでは、いくら「綾瀬初の母親役」とか囃したてられたところで、番宣の画もロクに見てなかったんですが、第1話をチェックして腰が抜けた。
竹野内豊(47)のパパと小3の娘という父子ライフは、ふた昔も前(1994~97年)にTBS系の昼ドラ枠でやってた「ぽっかぽか」シリーズが思い浮かぶような呑気なホームドラマなのに、そこに加わる綾瀬はるかは、セリフが島耕作(部長時代レベル)なうえに、動きがロボコップ(初代)で、違和感キツすぎる怪演なんだわ。
仕事一途なキャリアウーマンが結婚や育児をマネジメント用語で語ったり、低学年の小学生女子に兵法を説いたりするのはコメディとしてアリでしょう。が、歩いても止まっても、お辞儀しても土下座しても、甲子園初出場の田舎の公立高校の1年生が開会式の入場行進で右腕と右脚、左腕と左脚が揃っちゃうように、いつもカチコチなのは、いったい何でなんだろ?
「高嶺〜」の石原さとみの怪演が器用すぎる怪演なら、「義母と娘〜」の綾瀬はるかの怪演は不器用すぎる怪演。「高嶺〜」の石原はわりとストレートに桃井かおりを思い浮かばせるのに対して、「義母と娘〜」の綾瀬がいろいろ悩ませてくれた果てに思い起こさせるのは、突飛ながらダスティン・ホフマン(80)なんですから。
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