夏ドラマ「石原さとみ」と「綾瀬はるか」の“怪演”で思い浮かぶ“2人の名優”
「高嶺の花」石原さとみ
まずは「高嶺の花」。脚本があの野島伸司(55)で、主演があの石原さとみ。話の大枠が、婚約者に逃げられた華道の家元の娘と、長年介護してきた母親に死なれたイケてない自転車屋のラブストーリーとだけ聞かされりゃ、そりゃ期待はできないでしょ? 普通。設定はあざとくセリフ回しは大仰な野島世界を、「シン・ゴジラ」で芝居が開き直って底が抜けた石原が暴れまわるのなら、もうイタくてサムい空回り大サーカスになるはずだもの。
しかし、この「マイナス+マイナス=大マイナス」というワタシの足し算は間違いだった。「高嶺の花」は「マイナス×マイナス=プラス」という掛け算だったんです。
第1話のアタマで、結婚式当日に自分を捨てた三浦貴大(32/友和[66]&百恵[59]の次男)をストーキングしてママチャリで激走、池に突っ込むわ、警察にショッぴかれるわの大暴れなのに、一貫して眼が死んでる石原さとみ。
そのチャリの修理で転がり込んだ街の自転車屋で冴えない主人・峯田和伸(40/朝ドラ「ひよっこ」の“変な叔父さん”」)に出会い、第2話ではその峯田に、自分は三浦と今キッパリ別れてきたばかりで傷ついてるから付き合えと高飛車に迫り、それが受け入れられないと激昂、身悶えし奇声を挙げる石原さとみ。
アレを演らせてみせる野島のホンのあざとさ、大仰さも相当ながら、アレを演ってみせる石原の芝居の開き直りっぷり、底抜けっぷりは、「シン・ゴジラ」や「アンナチュラル」さえ超えてるレベルで、ワタシの脳にはしきりにフラッシュバックするんです、キレにキレてキレまくってた頃の桃井かおり(67)が。
平成が終わろうとする現在ただ今、昭和も50年代あたりのかおり様を髣髴させるさとみ様。これを怪演と呼ばずして、何が怪演か!
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