金融庁新長官は“9時半の男” 自宅所在地に見る「危機管理」意識

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新幹線通勤

 しかし、森氏が長官を3期務めたことで、遠藤氏は出世レースで同期の福田前事務次官や佐川前長官の後塵を拝したばかりか、

「森さんの退任決定まで、長官には別の人物が有力視されていたのです」

 こう解説するのは、経済誌の銀行業界担当記者だ。

「この1、2年、森さんと遠藤さんとの間には隙間風が吹いていました。森さんは銀行との会合などで“遠藤は優秀だが、変革の勇気が不十分だし、危機管理意識が低い”と批判していたのです。ところが、最終的には、官邸の意向で遠藤さんが起用されました」

 森氏は、遠藤氏の自宅の場所を踏まえて危機管理意識の低さを批判したという。

「遠藤さんは、06年春に官舎を出て軽井沢に移住しました。お子さんの健康を考慮して“空気の良い所に住ませたいから”と聞いています。新幹線通勤なので、夜の会合は1次会だけ。それも9時過ぎには退席するので、陰では“9時半の男”と呼ばれています」(先のメガバンク幹部)

 国家公務員は、人事院勧告により96年から新幹線通勤が認められている。ただし、特急料金と乗車賃の上限は、月額それぞれ2万円と5万5千円。ちなみに、東京―軽井沢間の“新幹線”定期代は1カ月12万5060円なので、遠藤氏は毎月約5万円を自己負担している計算になる。

 経済ジャーナリストの福山清人氏も、遠藤氏の危機管理意識を危惧する。

「事務次官や長官に限らず、幹部官僚は緊急の呼び出しに備えて、省庁から車で30分以内の場所に自宅を構えるのが常識。東京駅から軽井沢駅まで新幹線で約1時間20分。距離は175キロ以上あり、車では2時間以上かかる。緊急事態が起きた時、役所に駆けつけるのは難しいでしょう」

 1人はセクハラが原因で辞任し、もう1人は森友問題で更迭された同期。遠藤氏は、同じ轍を踏まない危機管理意識を持っているか。

週刊新潮 2018年7月26日号掲載

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