異例の“7名同時”で波紋 弁護士100人は「オウム死刑執行」をどう見たか
〈死刑執行を政治利用〉
もちろん、今回の執行に反対、または死刑制度そのものを問う意見もある。
〈宗教団体の教祖という特殊性から、殉教者が出たり、過度の神格化により後継団体の宗教活動が活発化・過激化するなど、死刑執行に伴う弊害が生じる可能性があると考えているため〉
〈死刑執行を政治利用していると考えられる〉
そして、
〈いまだ解明されていない事実も多い。神格化されたままの死刑は、信者の信仰心を強めてしまう〉
こうした“死刑によって事件の解明機会が失われる”という意見は、今回に限らず、死刑反対の立場からいわれる根拠のひとつだ。
それについての問いが【表2】である。“解明された”と答えた弁護士が多いが、「すべて」ではない、と答えた内容が【表3】。事件の再発を危惧する観点からは、以下の回答があった。
〈最も解明できていないことは、既存の仏教などの宗教が、麻原以外の若者たちの不満などの受け皿になれなかった理由は何かということである。この点が解明できていないので、有効且つ適切な再発防止策を講ずることは事実上不可能(中略)既存の宗教界の指導者を自認する人たちに、受け皿になれなかった理由を聞きたい〉
〈何万人もの信者がオウム真理教とその教祖「麻原彰晃」に帰依し、その一部が暴走して大量殺人をはじめとする違法行為もいとわない犯罪者集団と化したのは、どういう心理的メカニズムによるものか(中略)全く解明されていないと思います〉
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