「井上嘉浩」元死刑囚が書き残していたオウム「日本転覆計画」の仰天シナリオ

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盗聴、脅迫、一斉蜂起のプラン

“首都制圧”に向けての準備も着々と進められていた節がある。たとえば、井上ノートの以下の記述――。

「計画を確実に成功させるため、ミル17とミル24などの戦闘ヘリを最終的に12機購入すること。また、自衛隊の師団長クラスの幹部や警察上層部の家族を勧誘する。拒否された場合には、誘拐などの実力行使も厭わない」

 まだ1機だったとはいえ、ミル17を購入していたのは周知の事実。そして、先日発覚した陸上自衛隊・習志野第一空挺団長宅の盗聴事件である。これは井上の指揮の下、元自衛隊三等陸曹の浅野伸哉、元NTT職員の松本剛ら3人のオウム信者が習志野第一空挺団長宅の電話線に盗聴器を仕掛けたという事件。

「団長には娘がいるんですが、この娘をオウムは狙っていた。娘を拉致して、それをタネに団長を脅し、クーデターの際に第一空挺団を一斉蜂起させることを考えていたようです」(公安関係者)

“建設省大臣”早川紀代秀の“早川ノート”は、「もう戦うしかない」で始まり、最後は「'95年 11月 戦争」。その間はロシアでの軍事訓練や武器調達を示す記述であふれている。また、サリン製造の責任者だった土谷正実の“土谷メモ”は、「1億総オウム」を高らかに“予言”している。彼らは本気で信じていた。それがこの荒唐無稽な計画における一番不気味な部分かもしれない。

「FOCUS」1995年5月24日号、5月31日号

週刊新潮WEB取材班

2018年7月28日掲載

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