狙いは「ルイ・ヴィトン」「宝石箱」 被害者が語る「西日本豪雨」火事場泥棒

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「ボランティアです」

 そのグループは、住人が断ると立ち去ったというが、80代後半の女性の場合、そうはいかなかった。もっとも、同じグループであったのか確かめようはないが、

「避難して2日目、9日だったと思う。昼ごろ6、7人が自宅に来て“ボランティアです。手伝えることがあれば手伝います”といわれて、私とお父さんしかいなかったので、お願いしたんです。男性2人は食器棚の辺りを熱心に直してくれたけど、女性4、5人は寝室に入って片づけもしない。4時半ごろ、寝室のタンスの上の宝石箱がないのに気づいて、“探してくれ”って言ったんだけど、ろくに探さずに帰っていった。あの人たちが盗ったんじゃないかと思っています」

 その宝石箱のなかには、

「ネックレスをティッシュに包んで入れていて、天満屋で買った大粒の真珠のは15万円。それに金のが2本、銀が4本。金は1本22万円くらいで、銀も17万円くらい。あとサンゴのネックレスも10万円は下らなかったと思う。盗まれているのに気づいたときは、泣きそうな思いだったけど、家はゴタゴタでほかにやることもあるし……」

 泣き寝入りするしかないという。やはり真備町の時計屋から何本かの時計を盗んでいったのも、同じ連中なのかどうか。いずれにせよ、深い傷にさらに塩を塗られた被災者の心中は、察するに余りある。

週刊新潮 2018年7月26日号掲載

特集「『西日本豪雨』暴虐の爪痕」より

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