ZOZO「前澤社長」のプロ野球進出構想 問題は「超高級会員制クラブ」の住人

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日本以外の球団がおススメ?

 ロッテ買収でなく、新規に球団を作るというシナリオでも、難易度は変わらないというわけだ。小林氏も、「球界の内部で働いていた時と、今のように外部からプロ野球を見ている時では、16球団構想についてのイメージはちょっと変わります」と率直に言う。

「外部にいる今では、ファンの皆さんと同じように夢を感じます。一方、内部にいた時は、より現実的に見ていました。4球団増えたところで、果たしてパイは拡大するのかというと、疑問だと言わざるを得ませんからね。拙速な16球団化で経営難に陥る球団が出ると、“公共財”としてのプロ野球文化を毀損してしまいます。やはり、ファンの方にはもどかしく見えるかもしれませんが、巧遅というくらいのペースでちょうどいいのではないでしょうか」

 前澤社長の“地元愛”とは離反するかもしれないが、12球団のオーナーだけでなく、プロ野球のファン全員が賛成するかもしれない参入案がある。それはアジアにおけるプロ野球の発展に寄与するというアプローチだ。

「サッカーはW杯だけでなく、世界一のクラブを決めるFIFAクラブワールドカップも開催しており、ファンの“夢”を叶えるシステムが充実しています。同じように、野球ファンなら誰でも、大リーグのワールドシリーズを制したチームと、プロ野球日本一のチームによる試合を見たいでしょう。さらに、世界中のプロ野球チームが参加して世界一を決めるシリーズの実現も、野球ファンの夢に違いありません。前澤社長が台湾や韓国のプロ野球チームを買収し、強化策に成功、日本プロ野球とアジアナンバーワンを争うような状況が実現すれば、野球が世界的に普及することにつながります。そんなプランに前澤社長が乗り出せば、誰もが諸手を挙げて賛成するのではないでしょうか」(小林氏)

 日韓ロッテグループは連結売上高が6兆円を超え、千葉ロッテマリーンズはそのうちの100億円程度を占めるに過ぎない。経営の観点から球団を手放す可能性は極めて低い。前澤社長の挑戦に、追い風は今のところ吹いていないというのが偽らざる現実のようだ。

週刊新潮WEB取材班

2018年7月24日掲載

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