ZOZO「前澤社長」のプロ野球進出構想 問題は「超高級会員制クラブ」の住人

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焦点は12球団オーナーの「印象」

 千葉ロッテOBというだけでなく、引退後はコロンビア大学でMBAを取得。05年には福岡ソフトバンクホークスに入社し、取締役として経営企画室長、編成・育成部長などを歴任した。現在は江戸川大学教授(スポーツ経営学)として教鞭を取る。

 選手としての経歴だけでなく、「フロント」と呼ばれる球団経営の業務も熟知している。前澤社長のプランを検討してもらうには、まさに適任中の適任者だ。

「前澤社長の発言は、日本球界にとっては嬉しい話ですよ。一流の経営者が『日本プロ野球の価値は高い』と太鼓判を押してくれたわけですからね。さらに言えば、これまでのプロ野球で球団の譲渡は経営難を原因とするものが多く、世間も“身売り”なんていうネガティブな捉え方をしがちですが、今回は、どの球団にもそういう状況はない。わたしは、球界の活性化や新陳代謝を促すポジティブな意味でのオーナーシップの譲渡はあっていいと考えています」(小林氏)

 ガッツは称賛に値する。地元愛の理念も素晴らしい。何よりプロ野球は興行だ。ファンに夢を与えなければ、存在意義を失う。そして、前澤社長の発言に夢があふれているのは事実だろう。

 だが、その実現性を検討すれば「?」が浮かぶのも、また事実だという。プロ野球の関係者が匿名を条件に本音を明かす。

「前澤社長がTwitterで発表してしまったのは、本気度を伝える手段としては、あまりよくなかったような気がします。プロ野球は、TOBで買い付けができるような世界ではありません。仮に、譲渡を考えている球団があったとしても、歴史と伝統に彩られた“超高級会員制クラブ”の一員としてふさわしかどうか。そこをクリアしないと話は前に進みません。それぞれの球団オーナーは、プロ野球の興行面を支えてきただけでなく、スポーツ文化を振興し、国民的関心事を提供する“公共財”を維持・発展させてきたという自負があります。16球団でも話は変わりません。あと4球団を増やすかどうかは永田町や霞が関が決めるのではく、12球団がどう判断するかですから」

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