“都落ち”寸前の“かぐや姫”… 「大塚家具」が家賃めぐり訴訟沙汰

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店員のほうが多い

 ま、あの親子喧嘩を見せられれば、という以外にも原因はあるという。家具の業界紙記者によれば、

「家具市場は低価格路線と高級家具の二極化が進んでいますが、そんな中、久美子社長の進める中価格帯路線はいかにも中途半端。21世紀初頭には、大塚家具の年間売上高は700億円前後でニトリを上回っていたのに、昨年はニトリの5720億円に対し、410億円ですからね」

 試みに、銀座一丁目駅からすぐの銀座本店を訪ねると、入口に「60%OFF」のポスターが貼られ、店内には「店頭価格からさらに30%OFF」の表示が。ところが、土曜午後というのに、この破格の大安売りを前にして、客より店員のほうが多いあり様である。

 さて、三井不動産は、

「大塚家具さんと係争中であるのは事実です」

 一方、大塚家具も事実と認め、こう回答した。

「賃料減額については、両者交渉を重ねて参りましたが、当事者間では合意に至らなかったため、公平な第三者の判断にゆだねたものです。借地借家法に基づく適正な権利行使であると考えています」

 さて双方が主張する賃料、どちらが妥当か。不動産鑑定士の降矢等氏によれば、

「銀座は人気の場所だけに、相場があるようでない。裁判では、両社が大手鑑定事務所に頼んで出した、合理性のある鑑定書の妥当性を争うことになるでしょう」

 いずれにせよ、かぐや姫に、いまの家賃が高すぎることだけは間違いない。客の集まらない本店を捨てて都落ちも近いか。だが、都で売れないものが地方で売れるとも思えず……。

週刊新潮 2018年7月19日号掲載

ワイド特集「おしゃべり金魚 浮き沈み」より

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