【特別対談】定時で帰る働き方(下)
朱野帰子 小説『わたし、定時で帰ります。』(新潮社)の中で、主人公の結衣が父親の写真を見つめる場面が出てきますが、あれは私自身の経験に基づいているんです。私にとって”働く人のあるべき姿”は、バブル期が働き盛りだった父なんですね。仕事ばかりでほとんど家にはいませんでしたが、そういう家庭に育った私としては、父の働き方を肯定してあげたい気持ちが少なからずあるんです。先ほど「最近の経営者たちは長時間勤務を経た自分の成功体験を否定したくない」というお話がありました。何と言いましょうか、佐々木さんに父や私の働き方を否定されたとまでは思わないんですけど、これまでの人生がグラグラと揺らいでいるというか……。
佐々木常夫 ワハハ。
朱野 でも、それを見直してみようと考えた時、「きっと佐々木さんの部下だった方たちも同じように考えたんじゃないかな」って思ったんです。自分が頑張ってきたものや、信じて来たものは簡単には変えられませんね。でも、佐々木さんは一方的に「働き方を変えなさい」と言っていたわけではなくて、身をもって定時での帰宅を実践しながら、仕事でしっかり結果を出しておられた。だからこそ、部下たちは納得できたんでしょう。
佐々木 私にも出張や夜の会合がありました。だからこそ、他の人の力を借りるんです。家を空ける時には祖父母に泊りに来てもらいましたし、部下や近所の奥さんに助けてもらったこともありました。そういう私の姿を見ていると、周囲も「なんだ、自分1人で抱え込まなくても良いんだ」と意識が変わってくるんです。「佐々木さんは特殊な人だ」という見られ方も少しずつ変化して、それが「あの人は特殊なんじゃない。周囲を巻き込んじゃっているんだ」とか、「あれなら自分だってできるかもしれない」という新たな意識を生むわけです。
朱野 なるほど。
佐々木 アルフレッド・アドラー(オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家)に『嫌われる勇気』というベストセラーがあります。そこには「全ての悩みは人間関係に起因しているのだから、人間関係を上手くやればいい」とした上で、人間関係は「縦軸ではなく横軸で見なさい」とありました。「縦」というのは「上司と部下」「親と子」、場合によっては「男性と女性」でしょうか。それをアドラーは、「横軸で対等に見なさい」と指摘したわけです。
朱野 会社は典型的なタテ社会ですものね。
佐々木 そうです。私は東レ時代、30歳になった時から上司も部下も名前に「さん」を付けて呼ぶことにしました。当時、東レには部下をさん付けで呼ぶ習慣はなかったので、これがまた「変な男だ」と言われる理由にもなったんですけど(笑)。
朱野 上司は分かりますけど、どうして部下にも「さん」をつけたのですか?
佐々木 年齢が若くても、秀でた能力を持っている人は大勢います。そういうところを適正に評価して彼らをリスペクトすれば、組織の運営は変わると思ったからです。部下が私から「さん」を付けられて意見を求められると、自分がリスペクトされていることが分かります。そうすると彼らも「指示を待つのではなく、自分で考えよう」とか、「自分なりの意見を述べてみよう」と意識が変わるんです。先のアドラーの本を読み進めていくうちに、幾つか「彼の考え方は私と似ているな」と思う点がありました。一つは「過去に逃げを求めるんじゃない。将来に目を向けなさい」というもの。もう一つは「人はいつでも変われる。人はいつでも幸せになれる」というものでした。実は、この考え方は会社の仕事にも通じるんです。朱野さんの本には少なからず個性的な人物が登場しますよね。彼らを一つの組織にまとめるにはどうしたら良いのか? その答えを究極的に言うと、私は彼らの幸せを考えてあげることだと思います。上に立つ人は、部下がどうしたら幸せな人生を送れるのか、どうやったら良い仕事ができるのか、ということをしっかり考えて、時にはアドバイスもしなくてはなりません。上司たる者は部下の人生にコミットしていく責任があるからで、それをきちんと果たしさえすれば、部下はついて来るんですよ。
朱野 最近は自己責任とか、あまり他人に干渉しないというのが社会的な風潮だと感じています。職場にあっても、どこまで他人のプライベートに踏み込んで良いのか、という判断は凄く難しいでしょう。私も、結衣が先輩である賤ヶ岳八重の家庭問題に踏み込んで行く場面は、執筆していながら抵抗を感じたりしまして……。一方で、お互いがプライベートな部分に踏み込んでいかなくなると、信頼感が失われて人間関係がバラバラになってしまいます。その点、佐々木さんは部下の生活に積極的にコミットするだけでなく、ご自身の家庭状況を上司に打ち明けたりしてこられました。結果として周囲の助力を得られたというご経験は、ご著書でも明らかにされていましたが、私はこれを読んだ時、「ずっと上の世代にも、こういう考えをする方がいたんだ……」と胸が熱くなりました。
佐々木 なるほど。
幅広い人脈は大きな財産
朱野 私事で恐縮なんですが、うちには2人の子どもがおります。共働きなので夫と家事を分担しているのですが、以前の私の毎日は原稿の執筆と子どもの世話に追われて休みがなく、外出は保育園との往復だけでした。とてもしんどい日々だったにもかかわらず、私を担当している出版社の編集者の方に家庭の事情を打ち明けて、「自分はいま、いっぱいいっぱいなんです」と相談することにも抵抗がありました。と言うのも、私は就職氷河期に採用された世代のせいか、会社勤めをしているわけでもないのに「何か1つでもマイナスの要素を見せてしまったら、作家としての自分の居場所を失ってしまうんじゃないか」という強い不安があったんです。でも、佐々木さんのお話を伺って、自分の弱みをどんどん見せていくことで周囲は救われるし、それによって自分自身も楽にもなっていくんだと気付かされました。
佐々木 私が課長だった頃、東レでは1年に1回、部下との面談が課せられていました。でも、私はそれを春と秋の2回やっていたんです。1人当たり2時間ほどで、初めはプライベートなことから聞いていきます。「ご両親は元気なのか」とか、相手が独身なら「いまの交際相手と結婚するのか」とか。今なら個人情報保護法違反でしょう(笑)。
朱野 ギリギリのところかもしれませんね(笑)。
佐々木 もちろん、私自身のことも話すんですよ。そうすると、次第に信頼関係が生まれてくるんです。私は部下のことを家族のようなものだと思っていますから、「家族のために何かできることはないか」と考えている気持ちが相手に伝わっていたんだと思います。当然ですが、私が聞いたことは決して外部に漏れることはありません。仕事の効率化の両輪は、「コミュニケーション」と「信頼関係」なんですよ。
朱野 女性の部下に、プライベートを聞くのは難しくありませんでしたか?
佐々木 これは、やり方を間違えると大変です。でも、尋ねられる側に「この質問は自分のためなんだな」と、訊き手の心にピュアなものがあることを感じ取ってもらえれば、誤解されることはありません。
朱野 人気映画の『男はつらいよ』や『釣りバカ日誌』に登場する寅さんやハマちゃんは、「変わり者」ではありますが、多くのファンからそんな生き方が受け入れられていますね。それは、妹のさくらが「お兄ちゃん、しっかりして!」と説教する言葉に「もっともだ」と頷きつつ、一方で「寅さんのように自由に生きてみたいなあ」という願望を持っているからではないでしょうか。つまり、多くのサラリーマンにとって、定時で帰る人は「寅さん」のような存在だと思うんです。同じ変わり者でも『釣りバカ日誌』のハマちゃんは、釣りを通じて人脈が広がって、そこから大きな契約を取ることもありますけど(笑)。
佐々木 ワハハ。確かにそうですね。
朱野 会社とは別のところで多様なものを取り込んでいくことが、結果的に仕事の成功に結びついていくことがあるんですよね。結衣も行きつけの中華料理店で、世代の異なるオジサンたちと仲良く飲みながら、時として胸に刺さるアドバイスをもらったりしています。この場面を書いたのは、やはり会社の外で見聞を広げる努力も必要だと思ったからでした。
佐々木 それは大事なことなんですよ。私も40代の頃、社外の勉強会に出ていました。民間だけでなく官庁からも同世代の役人が参加していましたが、すぐに皆が打ち解けて、毎月のように勉強会だけでなく宴会を開いていたものです。お互いに業界が違うから、聞く話、耳にする話が新鮮でね。いまでも2カ月に1回のペースで集まっていますよ。でも、東レでは仕事ができる人ほど社外の会には参加しません。単純に出世には関係がないからでしょう。
朱野 何だかもったいないような気がします。社外でのお付き合いは「何があるか分からない」というところも魅力ですよね。
佐々木 そうそう。違う世界の人たちとの会話からは良い刺激を受けますし、勉強になることも多いですね。誰も「将来的に何かいいことがあるかもしれない」なんて思ってはいなくって、ただ楽しいから集まるんです。まあ、『釣りバカ日誌』のスーさんじゃないですけど、何かの折に「一緒に仕事をしてみましょう」と意気投合したことはありますけど(笑)。
朱野 そんな会が今でも続いているなんて、なんだか素敵ですね。幅広い人脈は、会社を離れた後でも、生きる上での大きな財産ですね。社内に引きこもっているだけでは、視野が狭くなってしまう。そんな状態で定年退職を迎えると、大きな喪失感に襲われたり……。
佐々木 定年退職しますとね、会社の人間関係はほぼゼロになります。最初は元の部下たちが「たまには来て下さいよ」なんて、酒席に誘ってくれたりするんです。でも、なかなか2回目はありません。忙しい現役社員にしてみれば、辞めた人は邪魔な存在ですからね。私の場合は嬉しいことに、昔の部下たちが「佐々木会」というのを定期的に開いて集まってくれます。本当に嬉しいことで、朱野さんがおっしゃる通り、これは大きな財産ですよ。
朱野 佐々木さんのお人柄の賜物ですよ。
佐々木 私は非常に自己愛の強い人間で、世の中で一番大切なのは自分です。その自分が幸せになるにはどうしたら良いかを考えると、やっぱり人のために尽くさなければいけないと思い至りました。人に尽くすことで自分が幸せになるし、会社の仕事も上手くいくということですね。その点、この本の登場人物の多くは「やっぱり自分は仕事に生きるんだ!」みたいな意識が強過ぎて、自分の人生を本気で幸せにしようという意識はまだ持てていないように思います(笑)。
朱野 仕事さえしていれば人生の他の問題を考えずに済む、というちょっと怖い感覚の持ち主が多いかもしれません(笑)。
佐々木 それは怖いことですよ。
朱野 会社の縦の関係性の中で「自分がどんな評価を下されるのか」という点にばかり意識が集中して、定時後の過ごし方まで思いが至らないんです。
佐々木 人間関係における縦軸が強すぎますね。
続編のテーマは……
朱野 実は、私も会社勤めをしていた頃は、上司にどう評価されるかということばかり気にしていました。その後、結婚を経て出産を経験しましたが、最初の子どもは1年間、保育園に入れませんでした。やむなくシッターさんを雇ったんですが、支払う時給は1700円もしたんです。
佐々木 それは安くないですね。
朱野 本を書くためにはお金を払わないといけない、という状況になって初めて、私は自分が働くということに真剣に向き合い、同時に仕事の効率を上げる方法を模索し始めました。やはり人間って、お金がかかってくると……。
佐々木 ワハハハ。
朱野 それで、自分の集中力が働く時間帯に原稿を書き、その時にシッターさんをお願いすることを思いついたんです。時間の使い方も工夫するようになって、メールのチェックは夜にすると決めました。金銭的な圧力、外圧は偉大ですね。
佐々木 外圧ね(笑)。
朱野 だから、佐々木さんがご家族の問題を抱えながら、定時で帰宅する仕事の進め方を考えてこられたお姿には、とても親近感を持っています。
佐々木 朱野さんが本気で生活を見直したきっかけはお金でしたが、私の場合は家族だった。やっぱり、人間はそういう圧力が働かないと上手く変わることはできないようです。
朱野 実感としてそう思います。何も変えられないまま定年を迎えてしまうと、そこには地獄が待っている。それが分かっていても、変わるきっかけを見つけるのは難しいのでしょうか。
佐々木 誰にとっても、定年で会社を離れることは苦しいもの。ところが「来たるべきその時に備えて何かを学んでおけ」なんて言ったところで、なかなか1人では取り組めません。日本には幼少期に「何事も自分で考える」という意識を植え付けるような欧米式の教育はありませんから、就職する時になって「私をこの会社のカラーに染めて下さい」とか「私は何とでもなりますから」なんて平気で言う学生が出てくる。自主性に欠けた発言を平然とする様子には本当に驚かされますが、彼らのように自分の人生を自分で切り開こうと考えない人が定年を迎えたら、その結果は必然ですよね。
朱野 ありがたいことに、先日、この本の続編を書かないかというオファーを頂きました。それで、今後は結衣も少しは偉くなるので部下たちの教育について書こうと思ったんですが、定時での退社と部下の教育という2つがなかなか結びつかずに悩んでいたんです。でも、先ほど佐々木さんから「定時退社の最大の抵抗勢力は部下だった」というお話を伺って、これなら書けるかもしれないって思えてきまして……(笑)。
佐々木 ワッハッハ。それは光栄です(笑)。
朱野 もし、外国人やまったく働かない若手が部下になった時、果たして結衣に彼らの意識を変えることができるのかと不安でした。でも、世の40代くらいのサラリーマンたちも会社で試行錯誤を繰り返しながら、部下との関係を作っているのかなって思うと勇気が湧いてきました。
佐々木 40歳前後で初めて部下ができると、そこから接し方の勉強が始まるから大変ですよ。「これはどうしたって無理だな」というくらいに接し方が下手な人も、実際に少なくはないですし。
「正面の理、側面の情、背面の恐怖」
朱野 結衣はきっと、縦軸と横軸の人間関係を意識していくと思います(笑)。ところで、先日、国会で「働き方改革関連法」が成立しました。佐々木さんがこれまでに、何冊もの本や講演活動で訴えて来られた「金言」とも言うべきご指摘は、多くのサラリーマンを啓蒙してきたと思います。今後、日本社会の働き方は大きく変わって行くのでしょうか。
佐々木 私はいつも講演の最後に「今日は働き方改革の考え方について話をしました。でも、きっとあなたたちは”良い話を聞いたなあ”と言って終わりでしょう。果たして明日、いま聞いた話を実行する人はこの中に何人いるんでしょうかね」って言うんです。ちょっとした皮肉ですけど、それほどまでに人間にとって学ぶことはたやすくても、実行するのは難しいですね。
朱野 人を変えることは難しいですが、自分を変えることも……。
佐々木 なかなか難しいですね。と言うのは、自分で考え方を改めて何かに取り組んだとしても、頑固で手ごわい人が相手に出てきたりすると、大抵はそこで嫌気が差して挫折しちゃうでしょう。
朱野 佐々木さんにも、そういう人はいたんですか?
佐々木 何人もいましたよ。いくら私が「部下の人生にコミットする」とか「人生の幸せに責任を持つ」と言っても、最後まで「迷惑だ」「自分の人生は自分のものだから」と反発する人はいましたからね。だから、そういう人には何もしません。嫌がっている人を無理に相手にする必要はないからです。私は自分の幸せのためにやっているわけですから、そういう場合は私の「幸せリスト」から外せば良いだけのこと。それとは別の話になりますが、ごく少数ですけど、仕事上の指示を出してもどうしても言うことを聞かない人がいます。そういう場合は評価を大きく下げて、どこかに飛ばします。人間には「あの人は優しいけど、怒らせたら怖い」という、ある程度の恐怖が必要だからです。日本弁護士連合会の会長や整理回収機構の初代社長を務められた中坊公平さんは、生前に上司の心構えとして「正面の理、側面の情、背面の恐怖」と説いていました。部下にはきちんと理屈で話をしなさい、その上で横から愛情をもって支えてあげなさい、だけど、いざとなったら怖いということを理解させておかないと人間は動かない、というわけです。
朱野 最近はフェイスブックやツイッターといったSNSが発達していますから、人によっては「そこで自分の悪評を書き込まれるかもしれない」と気にするあまり、「なるべく嫌われないように」という気持ちが先行してしまうかもしれません。
佐々木 人間には必ず好き嫌いがあるんですから、「嫌われたくない」と意識するよりも、自分を好いてくれたり、信頼してくれる人を探すべきですね。自分を嫌う人が何を言ったって、そんなのは構わないんですよ。
朱野 お話を伺っていますと本当に勇気づけられます。今日は作家としてお話を伺ったはずなんですけど、意識はすっかりサラリーマン時代の自分に戻ってしまいました(笑)。
佐々木 朱野さんは10年近いサラリーマン経験をお持ちですから、ピンとくる部分があったんでしょう。この本でテーマにされた「働き方」には、いまや多くの人々が関心を寄せています。社会的なテーマでありながら、多彩な登場人物が仕事あり恋愛ありのストーリーをテンポ良く紡いでいく。すっかり引き込まれて、楽しく読み進めましたよ(笑)。
朱野 佐々木さんは、今後も全国で講演を予定されているんですよね。より良い働き方を実現する取り組みはまだ始まったばかりですが、その渦中にあるサラリーマンたちは、各地で「佐々木さんの話を聞きたい!」って待っていると思いますよ。
佐々木 ワハハ。それはそうと、もうこんな時間ですか。だいぶ定時を過ぎてしまいましたね(笑)。朱野さんのお陰で、今日は本当に楽しい時間を過ごせました。どうもありがとう。次回作にも期待していますよ。
朱野帰子(あけの・かえるこ)
東京都生まれ。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』で第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞。2013年、『駅物語』がヒット。2015年、『海に降る』が連続ドラマ化される。生き生きとした人物造形と、緻密でありながらダイナミックなストーリー展開で注目を集める気鋭の作家。
佐々木常夫(ささき・つねお)
1969年東大経済学部卒業、同年東レ入社。自閉症の長男を含め3人の子どもを持つ。しばしば問題を起こす長男の世話、加えて肝臓病とうつ病を患った妻を抱え多難な家庭生活。一方、会社では大阪・東京と6度の転勤、破綻会社の再建やさまざまな事業改革など多忙を極め、そうした仕事にも全力で取り組む。2001年、東レ同期トップで取締役となり、2003年より東レ経営研究所社長となる。2010年(株)佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表。何度かの事業改革の実行や3代の社長に仕えた経験から独特の経営観をもち、現在経営者育成のプログラムの講師などを勤める。社外業務としては内閣府の男女共同参画会議議員、大阪大学客員教授 などの公職を歴任。【オフィシャルWEBサイト】
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