「麻原彰晃」の遺骨争奪の行方 “妻vs.四女”、“主流派vs.反主流派”の展開

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 確定から12年。ようやく麻原の死刑が執行されたが、これでオウム真理教が終焉を迎えたというわけではない。早速、「麻原妻vs.四女」によって“尊師”の遺骨を巡る争奪戦が勃発。事と次第によっては、この先、不穏な展開にならないとも限らないのだ。

 麻原の死後、遺骨は誰の手に渡るのか。そのことは、教団の行く末を占う意味で注目の的となっていた。

 警察庁関係者が言う。

「遺骨を手に入れれば置き場所は聖地となり、求心力の拡大に繋がる。さらに、資金集め目的で、遺骨を細かく分け販売することも考えられます」

 つまり、教団をより強固にする力を麻原の遺骨は持っていることになる。

「オウムから名前を変えたアレフの主流派は、5年前に麻原の次男を後継者に据えようと画策。三女に同調している反主流派を教団から追い出し、教団は分裂しました。当然、それぞれが遺骨を狙うことになり、対立の激化を招くと見られていたのです」(同)

 ところが今回、ダークホースが登場。それが麻原と妻の間に生まれた2男4女のうち、現在、信仰とは無縁とされる四女だ。

 司法担当記者が言う。

「麻原が死刑台に立つ直前、遺骨の引き取り先として、四女を指名したというのです。彼女は昨年、両親との縁を切る目的で裁判所に申し立てをし、認められたような人物。遺骨を手にしたら海に散骨すると見られ、主流派、反主流派ともに泡を食ったというわけです」

 そこで敵の敵は味方とばかりに、互いに手を組むのが得策と考えたのか、死刑執行の翌日には、体調不良と言われる長女を除いた長男、次男、次女、三女、そして妻の連名で、遺体を四女ではなく妻に引き渡すよう、法務大臣などに要求。

「麻原は、以前から受け答えも出来ない状態だと言われていましたので、本当に四女を指名できたのか疑問の声もあります。が、当局が引き渡し先として一番安全だと考えているのは、四女しかいない。今後、その方向で進めるはずです」(同)

 だが、“タッグ”を組んだ妻側が、そう易々と遺骨を諦めるはずもない。

 相続問題に詳しい前田貴彦弁護士は、

「妻側は、今後、家庭裁判所に調停を申し立てるのではないでしょうか。さらに遺骨を四女に引き渡さないように、執行停止の申し立てをする可能性もある。結論が出るまでには、かなりの時間を要することになると思われます」

 前出の警察庁関係者が言う。

「四女の手に渡ったら、それこそ奪還なんていう事態も十分に考えられます。一方、妻側が手にしても、それはそれで主流派、反主流派の間で遺骨の取り合いに発展すると見られています」

 つまり、どちらに転んでも火種となるのは必至。犯罪史上に名を残す殺人指導者は、死してなお禍根を残す、不気味な存在であると言うほかあるまい。

週刊新潮 2018年7月19日号掲載

特集「奈落に落ちた『麻原彰晃』 『劇画宗教』30年の総括」より

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