西日本、九州北部、鬼怒川… 近年頻発する「大雨水害」の原因は地球温暖化?

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台風8号が示すもの

 先の大野氏は、前記したように空気の流れの変化を指摘する。

「部屋の中が暖かく、外気が冷たい場合、窓を開けると外気が中に入ってきます。このように、地球全体でも空気の流れがあって、そのため、太陽の光がよく当たる赤道直下でもせいぜい気温は40度、逆に北極でもマイナス40度程度で済んでいる。こうした空気の流れがなければ、北極はマイナス何百度になってしまいます。温暖化によって、この空気の流れが変わり、例えばスコールのあるフィリピンや台湾でできるような雲が、日本で発生するようになった可能性が考えられるでしょう」

 同様に前出の森田氏も、温暖化の影響が大きいのではないかとしてこう分析する。

「温暖化に伴って海水の温度が上がり、海面から蒸発する水蒸気の量が圧倒的に増えたことが、不安定な天候と豪雨をもたらしていると考えています。その証拠と言えそうなのが、台風8号です。8日午後の時点で、沖縄に接近していた台風8号の中心気圧は915ヘクトパスカルと、とても強く、7月初旬の段階でこれほど強い台風が発生したことは記憶にありません。8月末や9月であれば、盛夏の影響で海水の温度が上がり、強烈な台風が襲ってくることはあります。しかし、本格的な夏を前にして、猛烈な台風が発生したこと自体が、海水温上昇の常態化、すなわち温暖化と台風・豪雨の因果関係を物語っているように思います」

 西日本豪雨に際し、気象庁は大雨に関する特別警報を出した。これからはこういった大豪雨も「数十年に1度」ではなく「年に1度」になりそうな気配が漂うのだ。七夕の夜に天の川ではなく大雨の川が発生し、大粒の雨と涙が被災者を襲う……。そんな好ましからざる光景が風物詩となってしまう日の到来は、そう遠くないのかもしれない。

週刊新潮 2018年7月19日号掲載

特集「死者・行方不明者200人! 『西日本大豪雨』の教訓」より

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