“生涯にわたる警護”も検討 “麻原執行”にサインした上川法相

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 鏡を磨いて磨いて磨いて磨いて――。

 今月6日、オウム真理教の麻原彰晃以下7名の死刑が執行された後、会見に臨んだ上川陽子法相(65)は、そう繰り返した。

 2014年10月の第2次安倍改造内閣で登用されて以来、4度にわたって法相を務めてきた上川氏が執行命令を下した死刑は、今回を含めて11件。

 政治部記者によれば、

「これは、鳩山邦夫元法相の13件よりは少ないものの、同時に7人の死刑が執行されたのは現行憲法下では最多。戦前を合わせても、大逆事件で幸徳秋水らが処刑された明治44年の12人に次いで多く、日本の死刑史でも際立つ例だといえます」

 ゆえに、執行の直後には人権団体のアムネスティ・インターナショナルやEU加盟国の駐日大使らから抗議が寄せられ、国内外のメディアにも執行を疑問視する論説が並んだのだ。

「上川さんは当然、批判に晒されることも承知の上だったでしょう。それだけでなく、オウム残党による報復の心配もあったはずで、上川さんには現在、生涯にわたって警察の警護をつけることも検討されている。それでも法相としての筋を通す道を選んだわけです」(同)

 そんな上川氏の半生を紐解くと、

「彼女は東大出身で、ハーバード大に留学した経験ももつ才媛。実は大学の同級生だった夫が山口県下関出身で、安倍総理が政治家になる前からの知り合いだった。その縁で上川さんも総理らと食事をする機会があり、政治の世界に興味を持ったのです」(地元関係者)

 00年には候補者調整で折り合えず、自民党を除名されながらも静岡1区で初当選。

 先の記者曰く、

「翌年、復党を許され、その後は第1次安倍政権で初入閣を果たすなど、安倍総理からの信頼も厚い。物怖じせずに淡々と政策を進める能吏型の政治家で、今回の執行も彼女でなければ出来なかったかもしれません」

 磨き抜かれた鏡は曇ることなく真理を映したのだ。

週刊新潮 2018年7月19日号掲載

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