ご都合主義「週刊文春」が報じていた食品添加物の「発がん性」「相乗毒」
「週刊新潮」本誌が8回にわたって掲載してきた「食べてはいけない『国産食品』実名リスト」記事に対し、「文春オンライン」が〈「週刊新潮」の「食べてはいけない『国産食品』」は本当に食べてはいけないのか?〉と題する記事を配信したのは7月10日のこと。
この記事は「週刊文春」7月5日号の特集を再掲載したもので、記事の中身は“いたずらに消費者の不安を煽っている”と「週刊新潮」記事の批判を狙ったものである。
無論、週刊新潮にそういった意図は全くない。そして何より、文春の批判は、そのまま“ブーメラン”のごとく先方に突き刺さるのだ。
「週刊新潮」では7月12日号で、〈ご都合主義「週刊文春」も添加物の発がん性を断じていた!〉との記事を掲載している。以下はその抜粋である。
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本誌7月5日号が発売された6月28日、新聞広告を見てギョッとした方も多かったのではないか。本誌の広告と横に並ぶ形で掲載された「週刊文春」の広告の「右柱」、すなわち最も目立つ位置に、「食品安全委員会、東大名誉教授が異議 『週刊新潮』食べてはいけない『国産食品』は本当に食べてはいけないのか?」とのタイトルがでかでかと掲載されていたのである。
大反響を巻き起こしている本誌特集が「いたずらに消費者の不安を煽っている」というのが文春の記事の趣旨だが、それに対する本誌の見解は、同誌に掲載された以下のコメントの通りだ。
〈本誌記事は食品添加物等のリスクについて報じたものです。食品添加物に関しては、今現在、安全だとされているものが、未来永劫安全だという保証は全くありません。実際、一旦は認可されたものの、その後、突如として使用禁止になった食品添加物は60種類にものぼります。また、記事の中でも触れた通り、いたずらに消費者の恐怖を煽る意図はいささかもありません〉
実は、掲載されたこのコメントは、文春からの取材に対して本誌が出した回答文の「一部」である。掲載されたコメントの後には、
〈本誌では現在、比較的安全な国産食品についても報じるべく、取材を進めているところでございます〉
との一文が続く。さらに、今回、本誌が取り上げている食品添加物について、当の週刊文春が過去に、〈発がん物質〉〈体に有害であることから体外へ排出する必要がある〉などと書いていたことを指摘したのだが、その部分は1行も掲載されなかった。せっかくなので、文春が過去、食品添加物のリスクをどう報じてきたかについては、後でそれらの記事を紹介する形で詳述したい。
今回の文春の記事では、〈「ADI(一日摂取許容量)=生涯にわたり毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる1日あたりの量」〉に基づき、ソルビン酸に関しては、例えば、ソーセージは1日に51本を食べ続けない限り〈「食べてはいけない」量〉に達しない、などとしているが、
「食品添加物の毒性評価は人体実験ができない以上、小動物や微生物を使用するしかない。さらに、試験の無毒量に安全係数として100分の1をかける。人と動物の差を10分の1、人の個人差を10分の1と考える。つまり、ADI値はあくまで“参考値”です。それをもとにして、1日に51本などと算出するのは、ADI値を盲信した数字遊びに過ぎない。単純計算をして数字をいじくりまわして、あたかも安全であるかのように言うことには、疑問を感じます」
そう語るのは、『なにを食べたらいいの?』(新潮文庫)の著者で「加工食品診断士協会」代表理事の安部司氏である。
「そもそも、添加物の中でもADI値が定められているものは、その添加物は、摂取を制限されるような要因を持っている、ということ。そのような添加物を“基準の下だから”と摂取し続けることに、消費者の皆さんは抵抗を感じはしないでしょうか。食品添加物は一度認可されても、それが後から科学水準の進歩により禁止されることがある。消費者はまず、添加物がそうした条件つきの安全基準に基づいて使用されていることを理解する必要があります」
実際、2004年には、加工肉などに使われていた「アカネ色素」という食品添加物の認可が突如として取り消される、という“事件”も起こっている。
「アカネ色素は天然由来だから安全と使用されてきたのですが、04年の再検査で腎臓への発がん性が認められ、食品安全委員会の報告により使用が禁じられた。このアカネ色素の例のように、添加物に対する考えが改められた時、消費者は誰に責任を求めれば良いのか。当然、誰かが責任を取ることはない。そんな中で消費者は、自分や家族が摂取する食品を選ばなくてはならないのです」(同)
それゆえ自衛が必要と説くのである。
本誌記事に何度もご登場いただいている、ハーバード大学などで研究を重ねてきた医師の大西睦子氏も、
「リン酸塩について、耐容上限量という基準を持ち出して、“これだけの量を食べなければ影響は出ない”と主張するやり方には疑問を感じます。人には個人差があり、年齢や体質によって腎機能にも差がある。基準以下ならいくら食べてもいい、という考え方ではなく、やはり、摂取は最低限に留めるべきです」
として、こう語る。
「食品メーカーは“やめられない、とまらない”商品を作りたいのでしょうが、それは消費者にとって非常に危険。食品添加物を多く含んだ加工食品に依存してしまうようになれば、結果的に過剰摂取に結びつく可能性も十分にあります」
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