政治主張で騒ぐ「慰霊の日」のノイズ(KAZUYA)
今年も6月23日に合わせて沖縄に行ってきました。73年前の沖縄戦における組織的な戦闘が終わった日にちなみ、6月23日は慰霊の日となっています。軍民合わせて約20万人が亡くなった苛酷な戦いですし、沖縄県民だけではなく全国各地から動員されて戦死しているので、決して県民じゃないから関係ないというわけではありません。
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それにしても沖縄は暑い。暑すぎます。現代人の我々は暑いと思えばエアコンの効いた車で一休みすることも可能ですし、かき氷で内側から涼むことも出来ます。喉が渇けばキンキンに冷えた水を飲み、腹が減ったら食事をしたらいい。しかし73年前は水も食料もろくにない中で、約3カ月も戦ったわけです。
14〜17歳くらいの少年たちも鉄血勤皇隊として軍務につきました。中には爆弾を抱えて戦車に突っ込むなどという命を懸けた攻撃まで行われていたのです。有名なひめゆり学徒隊や白梅学徒隊などは看護要員として、献身的に尽くしました。未来ある多くの若者が亡くなったことを考えると胸が痛くなります。
平和祈念公園には多くの慰霊の塔(慰霊碑)が存在します。各地域ごとだったり、韓国や台湾などかつての同胞を祀るものなど様々です。沖縄戦で一家が全滅した事例が多数あり、380世帯、1500名余の御霊を祀る「しづたまの塔」も目を引きます。
正午には黙とうが捧げられ、慰霊式典が行われます。今回とても驚いたのは、沖縄県の翁長雄志知事がスキンヘッド姿で登場したことです。彼はすい臓がんのステージ2であるとの診断を受け、少し前に腫瘍の摘出手術を行い公務に復帰しました。退院後はやせ細り、誰が見ても休んで療養に努めてほしいと思うでしょうが、今年11月に行われる県知事選挙にも意欲を見せ、周囲も担ぎ上げる雰囲気です。いや、休ませてあげなよ……。
残念なのは昨年同様、慰霊の日を基地問題の攻防の日にしてしまっている点です。米軍基地反対という主張は結構なのですが、それを慰霊の日にやるべきなのかと疑問です。
翁長知事はスピーチの中で米朝首脳会談での共同声明を念頭に「アジアの緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではありません」と普天間基地の辺野古移設反対の立場を述べます。しかし不思議なのは中国の存在にまるで触れないことです。中国の膨張を見るに、沖縄の地政学的重要性は年々増しています。北朝鮮だけが問題ではないのです。
慰霊の日なのに政治主張をする活動家も押し寄せてきます。8月6日、原爆が広島に投下された日も活動家が広島に大挙押し寄せ、慰霊とは関係のない政治的主張を繰り広げ、デモ活動を展開するのですが、沖縄も似た雰囲気があります。
最悪なのは安倍総理のスピーチの際にヤジを飛ばす人たちです。「モリカケ」「帰れ」などを言う人たちがいたり、一方で翁長知事のスピーチが終わると指笛を鳴らすなど、一体何しに来たのか……。
この日は政治主張で騒ぐのではなく、静かに手を合わせるべきだと考えます。