財務省“セクハラ次官”後任は 「最強官庁」トップ人事の内幕

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 セクハラで次官が地位を追われた未曾有の事態は、後任人事にも影を落とし、財務省全体を揺らしている。

 次期次官の有力候補として新聞に名前が挙がった人物は、数えることなんと3人。写真右の星野次彦・主税局長、中央の浅川雅嗣(まさつぐ)・財務官、左の岡本薫明(しげあき)・主計局長だ。

 まず最初に記事になったのは星野主税局長。6月初旬に各紙で報じられ、ご覧のごとく取材カメラを避けるように出勤する日々が始まった。

 財務省関係者が言う。

「本来、次官には主計局長がなるのが通例ですが、そのポストにいる岡本さんが官房長時代、森友文書の改ざんが行われていたため、次の目はなくなったと見られました。そこで官邸が星野さんで調整中という話をリーク、既成事実化を図ろうとしたのです」

 ところがどっこい、6月中旬、今度は浅川財務官の名が飛び出すことに。

「浅川さんを引き立てようとしたのは、他ならぬ麻生財務相です。かつて自分の秘書官をつとめた浅川さんを信頼し、可愛がっていましたからね。福田前次官の辞任直後に本人を呼びつけ“お前、やる気はないか”と打診してもいた。官邸は“浅川は口が軽いところがある”と言って彼を疎(うと)んじ、だから先に星野さんの名前を流したのですが、麻生さんがそれに抵抗した形です」

 しかし、この2人の名前もやがてかき消されてしまう。6月下旬にご登場と相成ったのがそもそもの大本命、岡本主計局長だ。事情通が語る。

「星野、浅川ともセクハラやパワハラと無縁なのか、女性問題はないのか――。そんな声が省内に流れました。出所は主計局の連中でした。次官のイスを他所(よそ)には渡すまいという明らかな情報戦ですが、情けないことにそれ以来、星野、浅川有力説は衰え、岡本説が強まりつつある。岡本氏は森友文書改ざん問題で6月に処分を受けたばかりなのに、これでいいのでしょうか」

 もとより大臣自らが舌禍を繰り返して反省の色なく、暴走老人との異名をとるのは周知のとおり。

 霞が関に長く君臨してきた最強官庁の病は、あまりにも重いというほかない。

週刊新潮 2018年7月12日号掲載

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