“開発中止”報道は否定も 二足歩行「アシモ」の苦衷

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 鉄腕アトムの影響なのか、日本人の“ヒト型ロボット”に対する愛着は特別なものがある。それだけに、ホンダが「ASIMO(アシモ)」の開発を止めるというニュースにショックを受けた人は多かったはずだ。

 ジャーナリストの片山修氏が振り返る。

「1996年にASIMOの前身『P2』が登場した際、大慌てしたのが経産省でした。それまで大学などに補助金を出してロボット開発を進めていたのですが、自動車会社の、それも数人だけの秘密チームに先を越されてしまった。2001年、同省の主導で産業技術総合研究所(AIST)が設立されますが、背景にはASIMOの存在があったと言われているほどです」

 以来、改良が続けられたASIMOは7代目。今では時速5〜6キロで小走りして、十数センチのジャンプもできるようになった。それが、なぜ中止なのか。

「その後、アメリカのベンチャー企業が同じように自立歩行できるロボットを開発するなど、先端性が薄れてきたのです」(同)

 ソニーのaibo(アイボ)やソフトバンクのPepper(ペッパー)のように、人とのコミュニケーションにロボット開発の重心が移ってしまったことも一因だという。

 同社の関係者によると、

「6年前、ASIMO開発チームの上席研究員が飲酒運転で人身事故を起こし、会社を去ってしまったことも開発チームの士気に影響したと言われています」

 もっとも、同社は、中止の事実はないと否定する。

「ニュースを報じたマスコミには抗議文を送ったところです。研究開発チームが解散することもありません」(広報担当者)

 現在、稼働しているASIMOは全部で10台足らず。一般向けには「日本科学未来館」などに貸し出されているが、小走りする姿が見られるのは、今のうちかも知れない。

週刊新潮 2018年7月12日号掲載

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