「谷岡学長」独占手記 栄監督の解任を決めたワケ、吉田沙保里にも相談

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自殺を仄めかした栄監督

 3月初旬にパワハラ問題が大々的に報じられると、私は選手たちに、「動揺しないで。練習に集中して。監督の汚名を晴らすにはマットの上で勝つしかないのだから」と言ってきた。彼女たちも胸が潰れるような思いをしながら、栄監督の復帰を願ってきたのです。そんな選手たちの切なる思いを、栄監督は汲み取ることができなかった。

 かつての栄監督は遠征に行くと、選手の部屋に洗濯ロープを付けたり、試合前の緊張で食事がのどを通らない選手にはお粥をつくってあげたりしていた。常に、選手に寄り添っていたのに、いまでは完全に離れてしまいました。

 その理由の一つに、精神的なダメージの影響があるのかもしれません。パワハラ問題の渦中にあった栄監督は心神耗弱状態に陥り、真夜中に「これから、どうなるのでしょう?」などと不安を吐露する電話をかけてきたりした。私が「頑張ろう。明日は明日の風が吹く。今日はもう寝ましょう」と励ましても、翌朝の5時にまた電話をかけてくる。

「マンションから飛び降りたくなる」などと自殺を仄(ほの)めかすこともあり、栄監督の奥さんが片時も目を離さないようにしていました。

 私自身も、この4カ月間というもの、パワハラの真相を知ることに、ほとんどの時間を割いてきた。

 協会が設置した第三者委員会の弁護士が、栄監督から聞き取りをするときにも、必ず立ち会いました。

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