西日本豪雨の真っ最中に「ラブライブ!」がライブを強行 運営側は“炎上”

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多くのイベント・ライブは中止

 具体的な記述に驚かされる。確かに「迷惑行為」のオンパレードだ。過去から現在に至るまで、相当なトラブルがあり、対応策も取られてきたようだ。

 そして福岡公演でも“炎上”が起きた。もっとも今回は、熱狂的なラブライバーが狼藉を働いたという話ではない。非難の矛先は運営側。ファンは“被害者”という珍しい事態なのだ。関係者が言う。

「ネット上で批判の声が高まっている理由は、西日本豪雨で記録的な被害が発生している真っ最中に、おまけに死者も発生した福岡でライブを開催したためです。交通手段が遮断したままの地域も少なくなく、7日、8日のライブについて運営は『記録的豪雨により被災された方、交通網が遮断されたことによりご来場できなかったお客様に限り、チケット代の払い戻しをさせていただきます』と告知しました。しかし西日本各地で予定されていた他のイベントやライブは安全を最優先に大半が中止になりました。ネット上では『運営側は危機意識が欠如している』、『大切なファンの安全を軽視しているのではないか』という指摘が相次ぎました」

 まずは比較のため、他のライブやイベントの状況を整理してみた。

公式Twitterは「物品完売」のツイートばかり

 そもそも7月5日は、福岡・大分の両県で40人が犠牲となり、2人が行方不明になった九州豪雨から1年という重要な節目だった。福岡県朝倉市では、その5日に大雨警報に基づく避難勧告が発令。途中で中止に追い込まれた追悼行事もあったという。

 ライブ前日の6日は九州各地で大雨が猛威を振るう。北九州市では土砂崩れが発生。山陽新幹線を筆頭に、JR九州の管内では運休が続出し、高速の九州自動車道も通行止めとなった。一部の高速バスは運行を見合わせるなど、広い範囲で交通手段が遮断される。

 ライブ初日の7日は、九州各地で甚大な被害が確認された。午前には福岡県筑紫野市で60代の女性が心肺停止の状態で発見され、大野城市では80代女性の死亡が確認された。九州道の通行止めは続き、山陽新幹線は新大阪——小倉間で始発から運転を見合わせた。JR九州の特急も動かず、交通の寸断は続いた。

「福岡市内に限れば、7日の土曜は終日、雨は降りませんでした。午前中の段階で最大級の警戒を呼び掛ける『大雨特別警報』も解除されました。運営側は17時のライブは予定通り開催できると判断したのでしょう。しかし、福岡市内の美術館や博物館は臨時休館でした。同じように雨の降っていなかった広島市でも、ゆずは安全を最優先にライブの中止を決めています。ネット上の非難は全て正論ばかりですが、最も皮肉がきいていたのは『ラブライブ運営「ATMに文句言う資格はない」』というTwitterの呟きだったと思います。確かに『黙ってライブに来て金を落とせ』という姿勢だと揶揄されても仕方ありません。中止にすれば熱狂的なファンの反発もあったでしょう。とはいえ、やはり大切なファンなのですから、安全を最優先に中止の判断を下すべきだったのではないでしょうか」(同)

 実際のところ、福岡市内に住むファンなら余裕で会場に到着し、ライブを心から堪能しただろう。だが、無理をして駆け付けた人もいたに違いないのだ。

 にもかかわらず、公式サイトは「物販完売」の報告が延々と続く。被災したかもしれないファンを思い遣る気配が皆無なのは、やはり違和感が残る。

週刊新潮WEB取材班

2018年7月9日掲載

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