久々に見所のある朝ドラで“同世代感”を楽しむ「半分、青い。」(TVふうーん録)
久々に朝ドラを愛でている。1971年生まれのヒロインには親近感を覚える。同世代が主役ってこんなに楽しいものなのかと堪能中。「半分、青い。」である。
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ついでに「あさイチ」の博多華丸・大吉の朝ドラウケも好き。「木曜日に何かが起こる」ことから「ムービング・サーズデー」と命名し、脱力系コメントの華丸と、段取り優先で冷静な大吉。彼らも同世代である。
視聴を諦めた人のために、これまでを凝縮して偏向解説。岐阜の片田舎に生まれた鈴愛(すずめ)(永野芽郁(めい))は左耳が聴こえないが、ハンディキャップを明るく受容するポジティブ思考。同じ日に生まれた幼馴染で、肝心な時に必ず災難に遭う佐藤健は心の支えだ。微妙な恋と熱い友情と暑苦しい家族愛を糧にのびのびと成長する。
が、人気少女漫画家の豊川悦司と出会って人生が一変、上京して漫画家を目指すことに。バブルの残り香漂う東京で、世間知らずの永野は失恋を経験し、幼馴染への依存からも脱却。同僚・志尊淳と清野(せいの)菜名に支えられ、棚ボタ式に漫画家デビュー。しかも現在は人気雑誌で連載を抱えている。
岐阜編はベタベタの家族愛がちょっと苦手で、さらっと流した。東京編前半も恋愛要素が大盛りすぎて。ついでにナレーションの風吹ジュンがやたらしゃべりすぎて、役者の見せ所を奪う構図にも辟易(へきえき)した。「ジュン黙れ」と田中邦衛の口で何度詰(なじ)ったことか。悪意ゼロで周囲を巻き込む天然系ヒロイン・永野の言動には正直共感しがたいモノもあるが、気持ちがいいのは「人権侵害には断固抗議する」ところだ。労働者としての権利、横暴かつ理不尽な上司への違和感はちゃんと口にする。そこが大好き。
永野が、社会人として、漫画家としての矜持(きょうじ)に目覚める、ここからが勝負だ。
過去2年の朝ドラは「ぼんやりしたヒロインが嫉妬や悪意に晒されることもなく、善意の人だけに囲まれ、とんとん拍子に子孫繁栄・家庭円満・商売繁盛」が定番だった。苦難・困難・大惨事の連続では疲れるけれど、あまりに順風満帆、または無風だとしらけるのよ。
今作にもやや踏襲されている感はあるが、トヨエツの事務所の面々が心の成長の種を撒き始めたのが頼もしい。永野のネタをパクってクビになった後、すっかり人気漫画家になった志尊。いち早くデビューしたが低迷してくすぶり、漫画から結婚へ全力で逃げる清野。この3人のプライドや仕事信条の心理描写で、やっとエンジンがかかってきた気がする。底意地が悪い私の。
やる気があるんだか、ないんだか微妙な、みうらじゅん×親心テイストのトヨエツをほぼ毎朝観るのもいい。ガーリーな衣装とその佇(たたず)まいが話題の井川遥も、私に初体験を提供してくれた。ブランドイメージはどう転ぶかわからんもんだな。
同世代を堪能という割に、同世代ネタは風味付け程度に。単純な懐古趣味である。むしろ、永野の母・松雪泰子がやたらと掃除する姿が腑に落ちた。あの世代ってホント雑巾であちこち拭くんだよな。その忌々しいリアリティに膝を打つ。