“非常事態宣言”も出た「教師ワイセツ事件」異常多発のナゼ

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 フィリピンで、のべ1万2千人の女性と関係を持った横浜の校長(当時)が世間を騒がせたのが3年前。海外での事件とはいえ、その時でも神奈川県から“宣言”が出る事はなかった。

「この6月20日、熊本県の教育長が、〈教職員の皆さんへ〉という文書を発表しました。女子高生と関係を持った県内の高校教師が児童福祉法違反容疑で逮捕された事がきっかけです。文書で〈非常事態だと考えております〉と伝え、〈初めて子供たちから「先生」と呼ばれた日のことを思い出してください〉と語る、異例の発表でした」(県政担当記者)

 この非常事態宣言が出た3日後にも、県内の小学校教師がトイレで盗撮をして逮捕されたと聞けば、事態の重さがお分かりか。

 県の学校人事課も、

「とにかく残念だという事しか言えません」

 と、肩を落とす。

「昨年度はわいせつ事由の免職は0件だったのに、今年度は3カ月で2件もわいせつ事由の逮捕者が出ている。今後、県内の教職員への研修を行う予定です」

 教職員の性犯罪は熊本県のみならず、全国的な問題だ。文部科学省の調査によれば、わいせつ行為等により懲戒処分を受けた教職員は平成23年度以降増え続けている。今年度の報道をザッと見返すだけでも、

〈教え子にわいせつ行為 茨城・下妻一高の34歳講師逮捕〉〈大阪市立小学校教師 男児にわいせつ容疑で逮捕〉〈早実の33歳非常勤講師、強制わいせつ容疑で逮捕〉

 と、出るわ出るわ。

「小児性愛者や性犯罪志向がある人を、採用前に感知する事は非常に難しい」

 とは、精神科医の和田秀樹氏。背景については、

「自殺報道に触発されて自殺者が増える現象と同様、教師による性犯罪の報道を目にして潜在的な欲求が爆発している可能性も。また、生活態度や意欲を重視する近年の成績評価法も問題です。将来の進路を左右する内申点を上げるためには教師に気に入られる必要があり、生徒から距離を縮めやすい構図を生んでいる」

“性職者”に成り果てた教職員改革の道のりは長い。

週刊新潮 2018年7月5日号掲載

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