「麻原彰晃」はいかにして「超高学歴信者」を心服させたか “ASC”でコントロール
「麻原彰晃」はいかにして「超高学歴信者」を心服させたか(1)
7月6日、オウム真理教の元代表・麻原彰晃、本名・松本智津夫死刑囚ら7人に、死刑が執行された。死刑が執行されたのは、松本死刑囚の他に、早川紀代秀死刑囚、井上嘉浩死刑囚、新実智光死刑囚、土谷正実死刑囚、中川智正死刑囚、遠藤誠一死刑囚だ。
オウム真理教の一連の事件では、27人が亡くなっている。中でも1995年に東京の地下鉄に神経ガス「サリン」をまき、13人の死亡者と数千人の負傷者を出した未曽有のテロ攻撃は、日本中を震撼させた。
1989年の坂本堤弁護士一家殺害事件、1994年に長野県松本で住民7人が死亡した松本サリン事件、1995年の東京地下鉄サリン事件など、一連のオウム真理教事件で、松本死刑囚を含め13人の死刑が確定していた。
今回刑が執行された死刑囚を始め、オウム真理教内でのヒエラルキーの上部を占めたのは超高学歴信者たちだった。教祖・麻原彰晃はいかにして彼らをマインドコントロールしていたのか。その謎を探る。(以下、「週刊新潮」2016年8月23日号別冊より)
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魚類から両生類、爬虫類、そして哺乳類。天才科学者は生命の進化のプロセスを遡り、その根源に迫ろうとした。自らの体を実験台とし、幻覚剤を飲んだ彼は、外部の環境から遮断されたタンクの中に身を投じる。やがてその肉体には、重大な異変が生じ……。
1980年代に一部のSFファンから熱狂的な支持を得た米映画「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」。そこでは、人類の起源解明への好奇心に抗えず、「感覚遮断」という技法で危険な実験にのめりこんでいく研究者の姿が描かれた。
この技法を実地で活用して多くの人心を惑わし、組織拡大を図ったのが、20世紀の最終末に日本に現れ、「坂本弁護士一家殺害事件」や「地下鉄サリン事件」など数々のテロ事件を実行した、オウム真理教の教祖、麻原彰晃である。
84年、ヨガ教室「オウム神仙の会」を結成した麻原は、やがて「最終解脱者」を騙(かた)る。87年に「オウム真理教」と名称を改め、その2年後には宗教法人に認証された。最大時で出家信者は2000人近くに上り、在家信者を合わせると信者数は1万人以上にまで膨張していた。
そんな教団内でヒエラルキーの上部を占めたのが、東京大学や京都大学など、一流大学で学んだ理系、文系の超高学歴信者たちだ。省庁制が採用された教団内で幹部となった彼らは麻原に盲従し、ついには教団の武装化に邁進したのである。
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