「半端ない」乱発するメディアに違和感がある人へ
「半端ない」の濫用が目立つ
おそらく今年の流行語大賞にはノミネートされるのだろう。「大迫、半端ないって」に端を発し、「半端ない」がメディアでは濫用されている。
毎日新聞は巨大カボチャを「半端ない」大きさだと報じ、フジテレビは暑さが「半端ない」と伝え、週刊文春はワイド特集タイトルが「スクープ半端ないって」。当然のように記者会見でここぞとばかりに「半端ない」をコメントに挟む芸能人も続出。
もちろんもともとのサッカー関連の記事では「半端ない」は接頭語のように使われまくっている。「半端ない自信」「半端ない勝利」「半端ないセーブ」等々。
大迫選手のプレーが素晴らしかったことに加え、この言葉の汎用性の高さ、つまりいろいろな場面でとても使いやすい点も、この傾向に拍車をかけているようだ。
こうした言葉の用法に「面白い」とはしゃぐ人も一定数はいるのだろうが、一方でこうしたハシャギっぷりには違和感がある、というコメントもネット上には見られる。
何か便利な言葉があると、それをついつい使ってしまう、ということは日常生活において誰でもやってしまいがちだが、その安易な姿勢に抵抗を感じるのかもしれない。
細胞生物学者の永田和宏京都大学名誉教授は、新著『知の体力』のなかで、安易な表現の使いまわしの問題点を指摘している。
永田氏が気になったのは「半端ない」ではなく「ヤバイ」だった。「ヤバイ」が現在のようにポジティブな意味でも使われるようになったのは、そう古い話ではない。が、あっという間に若者に使われるようになり、今では若者以外でも濫用するようになっている。
しかし日本を代表する歌人でもある永田氏は、違和感が拭えないようなのだ(以下、同書より引用)。
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