「刑事」の仕事で“超絶的に面倒くさい”ものとは? 元警察庁キャリアの作家が解説
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉巡査長、あるいは英国の人気小説「フロスト」シリーズのフロスト警部。型破りな彼らは、よく上司から書類仕事の不備を怒られる。
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一方で、日本の刑事ドラマの主人公たちがそういうことで怒られている場面はあまり見られない。優秀な彼らは颯爽と現場に現れ、鮮やかな推理と見事な行動力で犯人を捕まえる。そこでドラマは終わるのだ。
しかし、実際の刑事の仕事でデスクワークはかなりの比重を占めている。警察庁キャリア出身の作家、古野まほろ氏は近著『警察官白書』の中で、「書類、書類、また書類」という刑事に必要な煩瑣(はんさ)な書類仕事と、その大変さを語っている(以下、引用は同書より)。
「部外の方に『書類、書類、また書類』と言っていても、具体的なイメージは作っていただけないでしょう。ドラマのお陰で、刑事の仕事は断崖絶壁の上で犯人の自白を聞いてジ・エンド、あとはタイトルロール――というイメージも強いですから(現場の刑事が警察エンタメに対して必ず漏らす愚痴の1つは、『ケッ、そっからが本当の仕事だってのによ』『あんなんで終われたら苦労はねえや』といったものです……)」
実際にどのくらい「書類、書類、また書類」なのか。同書ではごく一般的な、丑三(うしみ)つ時(どき)に、現金と物品でトータル20万円ほどを盗んだという事案の場合、どのくらいの書類が必要かが示されている。その膨大さは、部外者には想像もつかないものなのだ。それぞれのプロセスと、そのときに必要な書類を見てみよう(以下、とても細かいので、ご面倒な方はざっとご覧になって雰囲気だけ掴むことをお勧めする)。
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