米朝首脳会談を受け「蓮池薫さん」語る “金正恩の判断ひとつ、今が拉致問題解決のチャンス”
金正恩の「決断」
ですから、条件やタイミングが合えば、金正恩の判断ひとつで、死亡とされた被害者も帰ってくる可能性があるのではないかという気がしています。折しも安倍総理は、「金正恩委員長の大きな決断が必要」とテレビ番組で話していました。この決断こそ、トップダウンで死亡報告が覆ることを指すのだと思っています。
いよいよ、北朝鮮が被害者を帰しやすい環境を整えることが重要な段階を迎えているのではないか。そのためにまず、先に触れた“アメ”を提示すると同時に「再調査」という口実を与え、報告書をいくらでも修正可能な状態にする。北朝鮮は“もう一度調査したら、ある一味が拉致被害者たちを隠蔽していた”という言い訳だって可能なのです。
日朝交渉は4年前のストックホルム合意で止まっています。北朝鮮の核実験強行で国連や日米が制裁を強化し、協議再開のメドが立たなくなった状態です。
しかし、米朝首脳会談が行われたいまこそが、拉致問題の解決に向けた最大の、そして最後のチャンスだと思います。私たちが日本に帰ってきた02年以来、16年ぶりのチャンスだと。
横田さんご夫妻だけでなく、拉致被害者のご家族にとって、拉致問題が動くかもしれないとの期待は、久しく抱けなかったのではないでしょうか。
ご家族が生きているうちに日本に帰ってこなければ、拉致問題は解決とは言えません。すでにたくさんの方が先立たれ、残った方々も年齢を重ねていらっしゃいます。代を継いでからでは遅いのです。
最近、横田早紀江さんは病気療養中の滋さんを気遣ってこんな話をされます。
「意識のあるうちに、めぐみに会わせてあげたい」
私は、いたたまれない気持ちで一杯です。
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