米朝首脳会談を受け「蓮池薫さん」語る “金正恩の判断ひとつ、今が拉致問題解決のチャンス”

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北朝鮮への“アメ”

 重要なのは、あの国が困っていることを見極めて支援すること。

 たとえば、北朝鮮は相変わらず石炭火力が中心で、電力事情が逼迫しています。発電の効率が悪い。日本はその点で世界有数の技術力を持っています。発電所やプラント、設備などで、電力にかかわるインフラ整備をするのもひとつの案でしょう。おそらく北朝鮮は関心を持つと思います。

 また、現在の北朝鮮は中国に貿易の9割を依存しています。経済面で中国の属国のような形であるのは好ましくない状況なのですから、日朝間の貿易拡大をカードにするのも手です。

 注意しなくてはならないのは、こうした“アメ”は、拉致問題が解決して初めて提供されるべきものだということ。核廃棄の具体的な工程が約束されただけの段階では、見返りを渡してはいけない。その時点で拉致解決を放棄されてしまう可能性があるからです。

 94年の米朝枠組み合意がそうでした。あのときは核開発を凍結し、その代わりにアメリカが軽水炉2基と年間50万トンの重油を提供した。その直後に待っていたのは決裂。その轍を踏んではならないのです。

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