蓮池薫さんインタビュー 「ヘギョンちゃんが言わされた『横田めぐみさん死亡』は嘘だ」
拉致問題提起の意味
トランプ大統領が金正恩に拉致について提起し、安倍晋三総理が感謝の意を大統領に伝えたとも報じられています。むろん、トランプ大統領が提起したからといって、即、拉致問題が解決するとは思っていません。ですが、提起には2つの意味がありました。
そのひとつめ。これは横田早紀江さんもおっしゃっていることですけれど、拉致問題が日朝関係における大きな問題であることを金正恩にインプットさせたこと。もうひとつは、同時に、トランプ大統領にもインプットされたことです。
これがなにを意味するか。
前者から触れると、核と拉致は北朝鮮にとって重みが違う問題で、非核化交渉のほうが断然、重要です。失敗すれば体制が保証されなくなるわけですから、まさに金ファミリーの存亡がかかるテーマともいえます。かたや拉致は、そもそも金正恩にとっては先代、先々代の話で、自身が手を下した問題ではない。拉致被害者を全員帰したところで、体制や国が滅びることはありません。
そこへきて今回の会談で拉致の重要性を金正恩に再認識させたことで、解決に向けてプラスになったと思います。
トランプ大統領に拉致問題を言ってもらったことも効果的でした。北朝鮮の非核化に向けて動き出すなかで、北朝鮮への経済協力という議題が出てくることでしょう。その流れで、拉致問題は進展せず非核化や経済協力だけが進むという状況は十分に考えられます。
そのとき日本は、絶対に経済協力への参加は見合わせるべきです。ともすれば、その姿勢は国際社会から取り残されていると指摘されかねません。しかし今回、拉致問題を提起してくれたのはアメリカなので、アメリカからは批判が出にくくなるわけです。
[4/4ページ]