衝撃のインスタ映え!? 干潟のアイドル「ムツゴロウ」を喰らう!

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 求愛の大ジャンプを決めるムツゴロウを始め、顔も名前もユニークな魚が多数生息する有明海。そんな海に住む珍魚たちの料理が、現在、佐賀の新名物となっているのをご存じだろうか。世にも珍しい「珍魚料理」をご堪能あれ。

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 6メートル以上という日本一の干満差を持ち、干潮時に現れる広大な干潟で知られる、九州北部にある有明海。ここは、珍魚の宝庫だ。

 干潟のアイドル、「ムツゴロウ」を始めとして、エイリアンのような頭部を持つ「ワラスボ」、若い人の尻の穴という意味の「ワケノシンノス」、形が靴底に似ている「クチゾコ」などユニークな魚介類が多数生息している。

 これら珍魚は強烈なビジュアルの上、捌くのもひと苦労なため一部沿岸地域の食卓にしか上ってこなかった。しかし、ここ最近、有明海に面する佐賀県がこれら珍魚とその料理を観光資源として県内外に売り出しているのだ。

 実際、佐賀市内にある飲食店に行ってみると、他の地域では決して見ない珍魚料理を出すお店が多数存在する。

 そのうちの一つ、居酒屋「蔵 KURA」の目玉メニューは、なんとムツゴロウとワラスボの刺身! ちょっとグロテスクな見た目に躊躇するが、ええいままよと、新鮮な切り身を口に入れてみれば、あっさりとした味で弾力のある食感がクセになる。

 料理長によれば、地元客のみならずわざわざ県外から食べにくる観光客もいるというから、県のPR効果は上々なよう。

 それに気を良くしたのか、県は今年、珍魚を使って餃子を作る観光ツアーまでも開催している。餃子作りの講師を務めた、東京の人気餃子店「蔓餃苑」のオーナーシェフであるパラダイス山元氏に話を聞くと、

「インスタ映えする衝撃的な見た目とは裏腹に、繊細で上品な味。このギャップは食材として非常に魅力的です」

 ツアー参加者も皆満足したそうだから、有明海の珍魚はこれからブームになる……のかも。

(撮影・西村純)

週刊新潮 2018年6月28日号掲載

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