そういえば、おまわりさんはどこから交番に現れるのだろう 警察官の“超リアルな日常”とは

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昼ごはん「汁物はやめろ」と言われるワケ

 さて、こうして到着した交番。

 落し物を届けたり、道を聞いたりするために誰もが一度は入ったことがあるだろう。が、その「ハード面」については意外と知られていない。その実情を古野氏はこう明かしている。

 たとえばトイレ。新しく作られて、スペースに余裕がある場合は、女性用トイレが設置できている可能性もあるが、「狭い、昭和の香りがする交番で洋式を期待するのは無理」とのこと。

 また、意外なのは個人所有のデスクがないということ。

「施設そのものが、3交替制の施設だからです。この、個人割り当てでないという点は、立番(りつばん)のおまわりさんが時々構えている『ひのきぼう』みたいなあの警杖(けいじょう)とか、民間でも利便性が認められているあの刺股(さすまた)などの装備資器材についても、同様です」

 このくらいならば我慢できるだろうが、布団や枕も共用となると、潔癖症の人には辛いかもしれない。

「これらは紙カバー等を使って、できるだけ汚さないよう共用します。布団を敷くのは、たいてい奥の方か、あれば2階にある畳の間ですが、狭い交番だと、スチールデスクの島の上に(さすがに1人分)敷いてしまうこともありました。

 そしてこの畳の間か、お客様から見えないオフィス部分で、出前の麺類だの丼物だのをいただきます。

 あまりにドタバタしていれば、食べる時間もありませんが……5時間遅れの昼御飯が、ラップの下でぶよぶよになっている脂(あぶら)の固まったラーメンというのも、かなり悲しいものがあります(「だから今日は汁物はやめろと言ったのに!!」と怒られた記憶がいま甦(よみがえ)りました)」

 体験者だからこそ語れる、ドラマとは異なるリアルな警察官の一場面である。

 次回は、刑事のステレオタイプ「刑事太郎」の日常を見てみよう。

デイリー新潮編集部

2018年6月26日掲載

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