1兆3千億円市場「民泊」に新法で「やめる人」「もぐる人」 撤退ビジネスも活況

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観光大使になったホスト

 一部の投資家や素人ホストが「割のいい副業」としてやりたい放題してきた側面は否定できず、その結果が規制強化だとするなら、皮肉と呼ぶ他ない。他方、「ホストが一緒に町歩きをしてくれたり、生花を生けてお出迎えするなどおもてなしが好評。『アイアンマン』や『L.A.コンフィデンシャル』に出演したスターが泊まりにきた」とか「地域に観光客増をもたらしたことで観光大使に選ばれたホストが五島列島にいる」などと、歓迎される民泊が存在するのも事実だ。

 筆者の取材したホストの中には、たとえ100円玉だろうと部屋に落ちていれば、連絡を取ってゲストに届けるという人もいた。そのホストは、「民泊とホテルの違いはゲストが出発する前から旅が始まること」と話し、予約が入ると拙い英語で、「桜の見頃は1週間後になりますよ」とか「ちょうど泊まっている週末に花火大会があります。場所は民泊からだとこの位置です」などと、情報をゲストに送っている。ゲストからの「●●から△△区間の高速道路代はいくら?」といった質問にも丁寧に回答。地元タクシー会社に「駅へのお迎えと市内周遊をお願いできないか」と相談したりもする。

 そういったおもてなしが受け、たった1年で2部屋の民泊には1279人のゲストが宿泊。売上の一部を「あいさつ手当」として他の部屋の住民に配当してきた。ホスト当人は、

「田舎の不動産に価値が再創生されたのは、LCC(格安航空会社)とGPSの発展によるところが大きい。観光客は高いホテルに泊まりたい人ばかりではありません。安く済ませた分、体験や飲食でお金を使いたい。それに対応したら地域にもお金は落ちます」

 そう話している。

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