宿泊客を暴行、規約無視で3千万円裁判沙汰も… 新法施行で「民泊」は変わるのか
覗き前科のあるホスト
「家具付き短期賃貸」「マンスリーマンション」という言葉で一世を風靡した株式会社「泉ハウジング」ミスタービジネス事業本部の今泉竜取締役は、
「“家具付き短期賃貸”を日本に根付かせようと27年もやってきたのに、エアビーはたった1年でそれをやってしまった」
と、少しうなだれるようにして語る。
同社の手掛ける家具付きのマンスリーマンションは、1万千室。一方、エアビーは、上陸からたった3年で5万室の民泊を生み出してしまった。
しかし、不動産の実態や経営に詳しくない素人が手を出した結果、さまざまなトラブルが発生しているのもまた事実だ。例えば昨年7月16日、福岡市の天神にほど近い同市中央区のアパートで、事件は起きた。
大家に黙ってアパートの一室で民泊経営をしていた男性(34)が、泊まっていた30代の韓国人女性2人のうち1人をベッドに押し付け暴行。準強制性交未遂罪で起訴されたのだ。男には覗きの前科があり、
「レイプ目的の民泊経営だったのではないか」
と、男の知人は言う。
現場アパートの家賃は4万円。1泊1人5千円で貸していたというから、割のいい副業と言えるだろう。また、逮捕された男の性癖からして盗撮や盗聴の可能性も否定できず、男にとっては一石二鳥だったことになる。
実は、こうしたトンデモホストは少なくない。
「掃除をしない」、「シーツを取り替えない」は序の口。他にも「自殺があった部屋を民泊にする」、「予算削減のためカーテンをつけない」、「真冬でもペラペラのかけ布団しか置いていない」、「いいレビューを書くよう執拗にメールで求めてくる」、「住宅弱者向けのURで民泊を経営している」……など挙げればきりがない。少なからぬ民泊経営者が、おもてなしの心や相手を思いやる感覚を失ったままで部屋を貸しているのだ。
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