「不倫専門」の弁護士事務所に聞く、“まさかの時”のための助言と警告

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警察官は“不倫=戒告処分”

 堀井弁護士が解説する。

「不倫関係の多くは身近なところからスタートしています。最も多いのが、会社の同僚や上司・部下というケース。仕事での信頼関係がそのまま恋愛関係にもつながりやすいので、不倫に陥ることが多いのです」

 そこで取り上げるのが、警察官同士の職場不倫について。男性が既婚で女性は未婚、ともに不惑に手が届こうかという年齢である。

「初め、離婚は求めないと言って交際をしたのに、“奥さんと別れなければ上司にばらすと言われて困っている”という相談でした。警察は、内規で不倫が懲戒処分の対象になるということで、交際を解消出来ず悩まれていたのです」(同)

 事実、警察庁広報室は、

「各都道府県の本部に通達している懲戒処分の指針の一つに、“不適切な異性交際等の不健全な生活態度を取ること”とある。不倫関係はこれに当たります」

 と言うし、この通達を受ける側のさる県警幹部曰く、

「確かに、不倫=戒告処分。停職や減給など、目に見える処分はないものの、昇任試験にはしばらく通らない。とにかく一度そういうことを犯してしまったら、警察で生きていくのは辛いよ」

 再び、堀井弁護士の助言に話を戻す。

「女性警官には、こちらから連絡をして、上司などに暴露するのは、当人の社会的評価を下げる恐れがあるため名誉棄損に、暴露しようとしただけでも脅迫に、各々該当する可能性があると告げる。この時、不倫相手が女性に対してすでに恋愛感情をもっていない旨をはっきり伝えるのも肝要。“結婚できないのだから他の人を探しなさい”と、女性の目を覚まさせてあげるのです」

「セクハラされた」「強姦された」のウソ

 さらに悪いことに、職場不倫にはまだまだリスクがある。その一つは、不倫相手の女性が「セクハラされた」と虚偽の主張を会社にすることだ。堀井氏が続ける。

「この場合、セクハラは妄言で、2人が恋愛関係にあったと男性側がうまく反論できないと、懲戒処分の対象となりかねない。そのなかで重要になるのが交際時のメール。具体的には、“好き”や“また会いたい”、“昨日はすごく楽しかった”などと書かれた、女性の方も積極的に交際を楽しんでいたと裏付けるようなもの。微笑ましいツーショット写真も効果的です」

 ただ障壁となるのは、妻にばれたくない一心から、おしなべて夫がメールを削除していることだ。

「家族や会社に知られては困るので、ご自身で保管出来ないケースも多く、メールの保管サービスもしております」(同)

 不倫の動かぬ証が、他方で自身を助ける手づるとなる皮肉――。

 それだけではない。

 悲劇的なことだが、セクハラのみならず強姦と強弁されることもある。参考となるのが、30代男性と20代の後輩女性との社内不倫の例だ。堀井氏が言葉を継ぐ。

「奥さんが旦那の携帯を見たことにより、交際が発覚しました。妻は不倫相手に対し、“夫と別れて慰謝料を支払うこと”を求めたところ、逆に“強姦された”と告げられたのです」

 夫を論難する妻。あまりに気まずい空気のなか、夫は渋々、歯の浮くような台詞が飛び交うメールや動画を差し出したのだった。

 殺伐とした、夫婦関係のどん底だが、これが奏功した。

「その証拠事実を突き付けても、不倫相手は強姦であると主張し続け、しまいには会社の上司に相談しました。夫は上司から事情聴取をされたため、弁護士に依頼。会社に対して弁護士から、交際時の円満なメールや動画があることを説明すると、強姦でないのを理解して大事には至りませんでした」(同)

 結果、後輩社員との間で、「今後は強姦について主張しない」という合意書を作成し、解決と相成ったのだ。

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