「不倫専門」の弁護士事務所に聞く、“まさかの時”のための助言と警告

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 政治家やアナウンサー、スポーツ選手に落語家と、毎週、誰かしらの不倫スキャンダルが報じられる昨今。道ならぬ「出会い」と「別れ」がそれだけあるというわけで、当然、そこを突いたビジネスも登場している。「週刊新潮」は2015年6月11日号で、“不倫専門”弁護士事務所の活況を以下のように伝える。現在にも活かせる、その助言と警告――。(※相談件数や費用などのデータは掲載当時のもの)。

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 歌人の俵万智は『チョコレート革命』で、妻子ある男と不倫の恋を抱えた女の心をこう詠んでいる。

〈議論せし二時間をキスでしめくくる卑怯者なり君も私も〉

 将来について言いようのないもどかしさを伝える女。それをキスで誤魔化す男。さらに、これを受け入れてしまう女。そうは言っても、この時は燠(おき)ほどのものだった女の不信感がじわじわと募っていく。夫婦問題コンサルタントの池内ひろ美氏によると、

「“日曜には会えない”とか“泊りは難しいから家に帰る”ことを繰り返すうち、不倫女性には嫉妬心が芽生え、本気になっていく。だから、“結婚する気はない”という彼女の言葉を絶対に信用してはいけません」

 そして前掲書には、孤独に耐えかねる女の姿が投影される。

〈抜け殻としてあるパジャマ抱き寄せてはかなき愛のかたちを崩す〉

 むろん世の中に1番になりたくない2番手など、いるわけがない。それを見透かすように、俵はこう続ける。

〈知られてはならぬ恋愛なれどまた少し知られてみたい恋愛〉

 やがて不倫相手は業を煮やし、「奥さんと別れてほしい。でないと関係を職場にばらす」と言い出す始末。狼狽する男は不倫相手に、「妻が別れてくれない」と漏らし、不倫の事実を知るところとなった妻には「相手が別れてくれない」とこぼす。にっちもさっちもいかぬ状況で、「3人で会おう」などと提案したが最後、絵に描いたような修羅場がやってくる――。

 そうなる前の駆け込み寺が、不倫問題解決のスペシャリストこと、東京・青山のフラクタル法律事務所である。

気になるお値段は

「婚約不履行など男女問題の相談で、年間300~400名がこちらを訪れます。受任するのはその半分ほどで、そのうち不倫絡みとなると、100件弱です」

 と言うのは、代表を務める田村勇人弁護士。同じく代表の堀井亜生(あおい)弁護士が後を受ける。

「そのなかで最も多いのが、不倫相手と別れたい既婚男性からの相談です。その次が、慰謝料を請求したいと相談してくる不倫された妻もしくは夫。そして3番目はこの裏返しで、不倫がばれて相手の配偶者から慰謝料を請求された男女です」

 費用に関して言うと、弁護士のアドバイスを受けたうえで、相手方と当事者が直接交渉するプランは月2万円より。その一方で、弁護士が介入する場合は、着手金が15万から。そして成功報酬が、〈15万円プラス経済的利益の16%から〉となる。この「経済的利益」とは慰謝料を取ったり、減額させた分を指す。

「慰謝料が請求できる根拠は民法709条にあります。他人の権利を侵害した時は、その損害を賠償しなければならない。そこへ行くと、不倫している当事者間では、法的に守られる権利はないので慰謝料を請求できる法的根拠はないのです」(同)

 つまり、単純に不倫相手と別れたい場合には、「経済的利益」が発生しないゆえに、費用は最低30万円からになるというわけだ。

 実際のところ、「不倫相手と別れたい既婚男性からの相談」の場合、弁護士が介入してすぐに解決することもあれば、数カ月かかることもある。ただ、裁判になることはごく稀。その意味で、悩める男女にとっては福音であり、守護神なのだ。

「内容証明を送って“不倫をやめなさい”だけでは問題は解決しません。忘れてはならないのは、不倫相手にも共感してあげること。敵ではあるけれど、女性にも救いの手を差し伸べるようなイメージです。それが穏便かつ円満な解決への近道です。そのためには事務所に不倫相手の女性に来てもらって話を聞くこともあります。普通の法律事務所では内容証明を送付するというのが通常の対応でしょうが、それだけでは良い解決には遠いと感じています」

 こう胸を張る田村弁護士。とまれかくまれ、“蜜の味”たる不倫の世界を覗いてみよう。

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