金正恩が南北・米朝会談で指紋消去、トイレ持参で排泄物も残さなかった理由
韓国やシンガポール側が用意したペンは拒否
「立つ鳥」よりも「立つ金正恩」のほうが、完璧に「跡を濁さず」らしい。南北会談、米朝会談を終え、次は日朝会談に臨むという金正恩(年齢不詳)。板門店やシンガポールで執拗なまでの“クリーニング”を行った理由の1つに、影武者の存在があるという。
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まずは報道から、尋常ならざる“潔癖症”の事実を見ておこう。韓国の通信社・聯合ニュースは4月27日(日本語電子版)、「金正恩氏 妹持参のペンで記帳・要員が椅子消毒=安全に万全?」と報じた。
文在寅大統領(65)との南北首脳会談で、会場となった板門店の韓国側施設「平和の家」内部では、特に北朝鮮の関係者が朝から入念なチェックを行ったという。
その記事を引用する前に、文中に「芳名録」という単語が出てくる。つまりは「お名前ノート」であり、来訪者が氏名やメッセージを書き込むものとされる。しかしながら外交の場となると、まったく位置づけが変わってくる。
例えば1984年、ジミー・カーター元米大統領(93)は広島市の原爆資料館を訪問。用意された首脳クラス向けの芳名録にサインだけでなく、「すべての人々が平和とより良い理解に向けて努力することを、絶えることなく永遠に思い起こさせるものでなければならない」と記した。
この芳名録は資料館の収蔵庫に保管されているという。資料的価値の高さは言うまでもないだろう。
北朝鮮側は韓国のペンを“消毒”
つまり首脳会談における芳名録は、外交資料として高い価値を持つことが多い。こうした背景を元に、聯合ニュースの記事を読んでいただこう。
《芳名録の用紙は韓国が準備したが、ペンは北朝鮮が準備したという。会談準備のための実務会談で、韓国政府はペンを複数本持ち込んで金委員長が芳名録に署名するペンを選ぶよう提案したが、北朝鮮側は自ら準備するとし、金委員長が書きやすいペンを持参したと伝えられた。
北朝鮮の警護員はこの日、噴霧器を使用して芳名録用の机や椅子に消毒薬を吹きかけ、背もたれや肘掛け、椅子の脚まで拭き上げた。韓国政府は予備のペンを準備していたが、北朝鮮の警護員は布を取り出してこのペンも消毒した。
結局、金委員長はこのペンを使用せず、妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が手渡したペンで芳名録に記帳した。机に盗聴装置が設置されていないか、検査も行われた。》(※編集部註:改行を一部、変更した)
ちなみに金正恩は芳名録に「新たな歴史は今から(始まる)。平和の時代、歴史の出発点にて」と記したそうだ。
また余談だが、韓国が準備した芳名録の用紙や、首脳会談で使われた椅子に朝鮮半島と共に竹島が描かれていた。さらに夕食会では竹島を模したデザートも出されたため、日本政府が抗議している。
聯合ニュースの報道に話を戻すと、特に韓国では当初、金正恩が暗殺や毒殺を恐れていると受け取った読者も少なくなかったようだ。
ニュースサイト・レコードチャイナは4月27日、「『もしや文大統領の手も消毒?』北朝鮮警護員の徹底ぶりに韓国ネットが呆れ」の記事を掲載。韓国のネットユーザーが「韓国は北朝鮮のように幼稚で卑怯なことはしない」と呆れる声があったことを伝えている。
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