ハクスキノエへ行ってきました(古市憲寿)
「今度、ハクスキノエへ行くんです」。そう言うと、決まって誰からもきょとんとされた。「白村江」とは、古代日本(倭国(わこく))にとって最大の対外戦争の起こった場所。660年に滅んだ百済再興を手助けするため、663年に倭国がはるばる朝鮮半島まで出かけ、唐・新羅連合軍と戦ったのだ。いわば集団的自衛権を行使した参戦であった(しかし結果は大負け)。
日本史の教科書には必ず登場するはずなのだが、関ヶ原の戦いや太平洋戦争ほどの知名度はない。1300年以上前のことだから仕方ないが、この白村江の敗戦は、天皇を中心とする強い国家と、「日本」という国号を生む契機となった。...