静岡・看護師遺棄事件「主犯自殺」で「県警捜査ミス説」と残された「謎」

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前科はスーパーのクレーム詐欺!?

 主犯格が自殺しているにもかかわらず逮捕状を請求し、死亡を把握しても情報提供を呼びかける————県警担当記者たちの間で、“捜査後手説”が流れるのも仕方あるまい。

 その一方で「まだ謎が残っている」と考える記者は決して少なくないという。

「取材は始まったばかりですが、芥川容疑者と被害者の内山さんとの接点が、まるで出てこないんです。『芥川容疑者の身体には入れ墨があるらしい』というくらいのものです。浜松駅で打ち合わせを行い、3人で犯行現場に向かったのですから、内山さんを狙っての計画的な犯行だと考えるのが自然でしょう。しかし芥川容疑者に強い動機は見当たりませんし、実行犯に報酬を払えるような余裕があるとは思えない。実は県警が第4の男、第5の男の存在を否定したことは1度もありません。芥川容疑者を見失ったのも重要性が低く、フリーダイヤルを設置したのも本当の主犯格の情報を求めている可能性もあります」(別の県警担当記者)

 読売新聞は2011年3月10日、大阪版の朝刊に「『パンに針』虚言 慰謝料狙う 高知南署 詐欺未遂容疑で男逮捕=高知」の記事を掲載した。

《スーパーで買ったパンに針が刺さっていたとうそをつき、慰謝料をだまし取ろうとしたとして、高知南署は9日、住所不定、無職芥川豊史被告(32)(電磁的公正証書原本不実記録未遂罪で起訴勾留中)を、詐欺未遂容疑で逮捕した。

 発表では、芥川被告は2010年3月27日午後2時40分頃、高知市河ノ瀬町のスーパー「サニーマート土佐道路東店」の店長を、寝泊まりしていた市内の事務所近くに呼び出し、「買ったクリームパンに縫い針が入っていて口に刺さった」と告げ、慰謝料をだまし取ろうとした疑い。芥川被告は「やってない」と容疑を否認しているという》

 少なくとも一部のネット上では「豊史」という名前の一致や、年齢にも齟齬がないことなどから、この芥川被告は芥川容疑者と同一人物だと見なしているようだ。

 仮にそうだとして、こういう“前科”を持つ男が、今回のような殺人事件の“主犯格”になり得るのか――確かに謎は深まるばかりだ。

週刊新潮WEB取材班

2018年6月20日掲載

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