日本人4人が「財宝探し」で逮捕 フィリピンに眠る“100兆円”山下財宝伝説
古地図見せられ「読み解いてくれ」
15歳の少年は通訳で、残り3人の出身地と年齢は、鹿児島県(58)、神奈川県(45)、そして東京都(60)とバラバラ。この歪(いびつ)なカルテットはいったい? と疑問は募るばかりだが、それは(下)で解消するとして、まずは山下財宝の真贋について、専門家の解説に耳を傾けておかねばなるまい。
「結論から言えば、山下財宝なんてものは存在しません。では、なぜ、山下財宝の存在が広く知られるようになったのか。日本軍兵士が撤退に際し、物資や装備品の一部を土中に埋め、それらが戦後、掘り返されて見つかった。結果、山下将軍はもっと価値のある金品を隠したのではないか。フィリピンの大衆にそう信じられるようになったのです」
とは、『山下財宝』の著書もあるノンフィクション作家の生江有二氏。
フィリピンには財宝伝説が少なくないが、山下財宝はとびきり輝きを放ってきた。かつて、政府機関トップが「山下財宝の2トンのプラチナを押収」と発表したものの、実は鉄クズだったことがわかったり、あのイメルダ夫人が「マルコス大統領の資産の一部はヤマシタ財宝」とポロリしてみたり……。現地では、こちらが日本人だとわかると、日本語で書かれた古地図を見せられ、「読み解いてくれ」と今もなおオネダリされるのだとか。事実、フィリピン在住20年超のジャーナリストによると、
「財宝の話は新聞で年に数回、目にします。採掘中に事故で怪我したり亡くなったり。私自身、ルソン島北部の山で、“見てくれ、何て書いてあるんだ?”と地図を見せられたことがあります。地元の農民みたいな人でしたね。カタカナとか漢字が記載されており、読めない字も多い。財宝の在処として、『ココニ』とか書いてあったような。その人は必死でしたから財宝の存在を信じていたのでしょう」
ココニ、アソコニ……。一攫千金が叶えばという夢が彼らを支えているのだ。騙されるのは何も現地人ばかりではない。過去には、日本人が発掘中に紀元前300年頃の遺跡を破壊したこともあり、現在、宝探しができるのはフィリピン人あるいは十分な資産を持つ団体に限られる。管轄する省に1万ペソ(約2万円)の手数料を支払って許可を得る形だ。
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