棺を蓋うて「コマツ社長」生前葬の式次第

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 最後まで自分らしい人生を送る。そんな「終活」に世間の関心が高まるなか、コマツの元社長、安崎暁(あんざきさとる)さんは昨年12月に生前葬を行って話題を集めた。そして5月26日、81歳でこの世を旅立ったのである。

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 日経と産経、徳島新聞の社会面の広告スペースに、〈コマツ元社長 安崎暁〉名の見馴れない広告が載ったのは、昨年11月20日のことだ。

 文面で目を引いたのは、

〈10月上旬、体調不良となり入院検査の結果全く予期せざることに胆嚢ガンが見つかり、しかも胆道・肝臓・肺にも転移していて手術は不能との診断を受けました〉

 との“紙上発表”。曰く、これからの時間は「生活の質」を優先する。曰く、放射線や抗ガン剤による治療は受けない。よって、〈まだ元気なうちに皆様方に感謝の気持ちをお伝えしたく〉、感謝の会を開催したいので、ご都合がつく方々はご参加ください。会費お志ご無用、と結ばれていた。

 世界的な建設機械メーカーの元社長が、飾り気のない言葉で綴った文章。内容の珍しさのみならず、ガン宣告からわずか1カ月で「生前葬」を決意した彼の選択に、周囲は驚いた。

 世間が注目するなか、12月11日午前11時半。「感謝の会」は東京・赤坂の「ANAインターコンチネンタルホテル東京」ではじまった。安崎さんが四十余年を捧げたコマツ本社は、目と鼻の先である。

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