“らしさ”こだわる「西野ジャパン」の理想主義 歴史繰り返す?

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“日本らしさ”に賛否

 大塚氏が解説する。

「ハリルの4バックは、相手によって中盤を組み替える“相対主義”でしたが、西野監督は“絶対主義”。3バックで対応できない3トップ制のガーナに頑なに3バックを貫いた。4バックも練習しているようなので、どちらを採用するかはわかりませんが、“自分たちらしさ”にこだわるあまり柔軟性を欠いているように見えます」

 お気付きだろうか。相対と絶対――現実路線と理想主義と言い換えることもできる両者の対立は、サッカー代表を議論する際に取り沙汰される永遠のテーマ、いわゆる“日本らしいサッカー”を目指すか否か、に行き着くのだ。

「前回のブラジル大会でザッケローニ監督は、選手たちが言う“自分たちのサッカー”を自由にやらせてました。古くはジーコ監督も“日本人はもっとできる”という信念で、“日本らしさ”を模索しました」(同)

 一方、“ほとんどの相手が格上なのに、日本らしさもなにもないだろう”という意見もあるわけで、日韓大会のトルシエ監督や、ハリル監督は“サッカー後進国日本に教えてやる”という“上から目線”だった。

「どちらが正しいと一概には言えないかもしれません。ただ、メッシがいるバルサだって、“バルサらしい=パスサッカー”なんて言われていますが、実際には相手に応じて自在に戦術を変えていますからね。南ア大会の岡田監督も、W杯本番でキープ力のある本田をワントップに据えるという“弱者の戦術”で成功しました」(同)

 過去5大会を振り返ると、理想主義の監督では惨敗し、現実路線のときのみグループリーグを突破している。

 歴史は繰り返されるのか。

週刊新潮 2018年6月14日号掲載

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