元文科省次官はクーデター否定も… 「城西大学」不適切支出騒動の背景
かけ離れた調査結果
結果、この理事会で採決が行われ、外形的には“辞任”という形がとられたが、賛成多数で水田理事長の解任が決まった。
けれど、それから約2カ月後、17年2月13日に文科省が城西大学に通知した調査結果は、小野氏が訴えた危惧とはかけ離れた内容だったと水田氏は憤る。
「通知はA4用紙1枚におさまる内容で、これは無事に終わった過去の調査と同じ分量。どこをどう深読みしても、文科省が理事長を解任しなければ補助金を止める、解散命令を下すなどの重大な叱責や指摘は見当たらない。元来、城西大は黒字経営で文科省から財務状況もAランクのお墨付きを戴いていましたから」
斯様(かよう)な結果にもかかわらず、小野氏は「理事長特別補佐」という肩書きを名乗り理事会を主導していく。後任の理事長には、理事の1人で大正製薬の現会長・上原明氏を据えて、水田氏を擁護した元大蔵省大臣官房審議官の鈴木達郎監事や柳澤城西大学学長(伯夫・元金融相)は学園を追われた。
現在、水田氏は名誉回復を求めて小野氏や大学を相手に東京地裁で係争中だが、当の小野氏はこう反論する。
「いずれ裁判で明らかになりますが、私はこのままでは学校が潰れると思って信念から解任を提案したのです。クーデターと言われるが、私は理事長になるつもりはなく、混乱をおさめ今後の道筋をつけるべくやっている。元次官とはいえ今は私学の理事ですから、文科省に理事長を辞めさせろなんて強権的なことは言えない。文科省へ行くことはありますが2カ月に1度くらい。きちんと指導してくださいとは言いました」
水田氏をはじめ学園を追われた教職員らは、仲裁を求め文科省にも訴えたが梨の礫(つぶて)――。これでは文科省も“大先輩”に“忖度”しているとの誹りは免れない。
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