城西大学で起きていた「理事長の椅子」巡るクーデター 元「文科省次官」の乗っ取り

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証拠がないから“不意打ち”

 その当時の監事の1人は元大蔵省大臣官房審議官で日本たばこ産業(JT)副社長を務めた鈴木達郎氏。理事には、厚労相や初代金融担当相を歴任した柳澤伯夫氏が就き、城西大学学長としても水田理事長をサポートしていたのだ。

「鈴木監事は、『会計上の問題で緊急動議が出されたのなら理解できない』と仰られ、小野氏の言う不正経理や業務上横領などあり得ないと、専門家の立場から理事会に異を唱えました。仮にも不正支出があるのなら、緊急動議でなく具体的な証拠を明示した書面を用意して、理事会に諮るべき。証拠がないから不意打ちするしかなかったのでは」(同)

 話を件の理事会に戻せば、学長の柳澤元金融相も、水田氏をこう擁護した。音声データから抜粋すると、

〈トップセールス的に海外の教育機関との連携をここまで進めてこられたのは、どんな大学もかなわない〉

 とした上で、理事長解任を求める小野氏へは、

〈こういうことを短絡的に言ってしまうことには、やはり躊躇を感じる〉

 と違和感を表明したのだ。

 だが、小野氏は解任の採決を急いだ。そこにはもう一つ理由があった。

(下)へつづく

週刊新潮 2018年6月14日号掲載

特集「元『文科省次官』が乗っ取った 『城西大学』理事長の椅子」より

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