城西大学で起きていた「理事長の椅子」巡るクーデター 元「文科省次官」の乗っ取り

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「最低の経営者」

 創立53年と歴史の浅い城西大学は、都内や埼玉にキャンパスを持つ。学校法人として城西国際大学(千葉)も傘下に収め、学生数は約1万4000人、人文系から薬学部まで幅広いカリキュラムを備えている。皇族宮家の高円宮絢子女王が、OGとして研究員を務める由緒正しき学び舎だ。

 創立者の水田三喜男(みきお)氏は、吉田茂から池田勇人、佐藤栄作など歴代内閣で大蔵大臣などの経済閣僚を歴任した大物政治家で、「所得倍増計画」の立役者として知られる。その次女が、今回の会見で不正を指摘された水田宗子(のりこ)氏だ。米・イエール大学で博士号を取得、女性学の研究者として教壇に立つ傍ら、理事長として経営に参画したが、いわば天下りで受け入れた文科省OBに疑惑を糺されたのだ。

 冒頭の会見で、不正を告発した小野元之氏は、2001年に省庁再編で誕生した文部科学省の初代事務次官で、その手腕を見込まれ6年前に城西大学理事となった。

 水田氏からすれば飼い犬に手を噛まれた格好だが、ことの発端は、16年11月30日に開かれた城西大学の理事会に遡る。

 音声データを基にその模様を再現してみよう。理事会の席上、真っ先に口を開いたのは小野氏だった。

小野氏「議長!」

水田氏「はい」

小野氏「緊急動議の提案を行いたいと思います」

水田氏「はい?」

小野氏「その中身は水田理事長の解任であります。まず、緊急動議を理事会で議論することにつきまして、理事会の同意を得たいと思います。賛成する理事のみなさんの挙手を願います。賛成多数、緊急動議を取り上げることにいたしました」

 呆気にとられる水田氏を尻目に、この日の議題は「理事長の解任」と決まった。

小野氏「現在の水田理事長と武富事務局長の運営は、この学校法人の将来に本当に危ないと私は思っております。水田理事長の長期的な展望を欠くデタラメな経営、超ワンマンで学長等の意見をまったく聞かない独裁者であり、女王様気取りで学内で威張ってらっしゃいます。一方で決断力がなく気まぐれで、無駄な会議ばかりを開く。私としては、最低の経営者と思っています」

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