岩村明憲氏が語る「大谷翔平」 ノーステップ打法を続けるとは思わない

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バッティングが若い

 大谷は開幕のわずか3日前に、それまでの右足を高く上げる打撃フォームから、同じエンゼルスに所属するホームラン打者アルバート・プホルスのようなノーステップ打法に変更した。いわば速いボールに差し込まれないための試行錯誤だったが、それが功を奏して開幕戦では初打席の初球(146キロのカットボール)をライトに運んで初ヒットを記録。さらに4月3日に初本塁打を放つと、3試合連続でスタンドに叩き込んだ。

 しかし、わずか開幕の3日前にそれまで築いてきたフォームを捨て去ることは、勇気と覚悟が必要なはずである。

「3日前に変えることなんて、普通はできない。それが彼のポテンシャルだし、誰より彼自身が“何かを変えないといけない”と追い込まれていたのではないでしょうか。足を上げることによって、差し込まれるだけでなく、(バランスが崩れてボールを捉える)目がぶれている部分もあったはず。メジャーは日本より平均球速が7キロほど速い。スピードボール対策と同時に、動くボール対策としてノーステップにした。すると、今度はボールが飛ばなくなるリスクを背負うんですが、彼はセンター方向から逆(レフト)方向に強い打球を打てますよね。日本時代から、バッティングのポテンシャルが高いことは分かっていましたが、同時に“若い”とも思っていたんです」

 バッティングが若いとは――。

「彼のバッティング練習を見ていると、最初は逆方向から打っていくんですが、最後は力一杯振ってライト方向に、思い切り飛ばしていた。彼はスイングスピードが速く、こすった当たりでも飛距離は出ます。しかし、もう少し軽く振っても飛ぶだろうし、そうすることによってさらに高い次元で結果を残すことができるのに、と思っていました。日本のプロ野球で5年間過ごし、メジャーに行って経験を積むことによってそういった荒さが消えてきた。ただ、彼がこれからもずっとノーステップを続けるとは思わないし、もっとメジャーの投手の速いボール、変化球に慣れて来たら、より効率よく飛距離を出すために足を上げるフォームに戻ることもあるのではないでしょうか」

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