岩村明憲氏が語る「大谷翔平」 ノーステップ打法を続けるとは思わない

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〈文:柳川悠二(ノンフィクションライター)〉

 プロ野球・独立リーグであるBCL(ベースボール・チャレンジ・リーグ)の福島ホープスが練習している岩瀬グリーン球場に、岩村明憲氏の姿はあった。2007年に東京ヤクルトスワローズからタンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)にポスティング移籍した岩村氏は、08年にはワールドシリーズにも進出。11年に帰国してからは、東北楽天ゴールデンイーグルス、そして東京ヤクルトを経て、この福島ホープスで現役生活を終えた。

 現在は同球団の代表を務めながら、監督としてチームを率いている。メジャー事情にも精通し、ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平の動向も欠かさずチェックしてきた。大谷の二刀流挑戦に関して、メジャー経験者として心配していたのは、米国メディアからの批判だった。

「多くの球団が彼の獲得を希望し、あれだけ二刀流に注目が集まる中でエンゼルスを選んだ。結果が出なければ当然、アメリカのメディアは厳しい論調になる。大谷君の場合は、高校時代からこれまで、一度も批判されたことがありませんよね。プロ入りして6年目ですか。常にそれなりの結果を残し、不振に陥った時期はありませんよね。批判って、自分では気にしていなくても嫌でも耳に入ってくるものなんですよ。その時、大谷君がどう対応するのか。それだけが気がかりでした」

 3月のオープン戦での大谷は、投手としては制球が乱れ、打席でも10打席以上も安打が出ないことが続いた。とりわけ対左投手に苦戦していた。

「投手としては固いマウンド、滑るボールに苦しんでいた。打者としては、ツーシームの変化とチェンジアップに対応できずにいた。海外の選手は手が大きいこともあって、ツーシームやチェンジアップを多投する。単に球が速いだけでは抑えられないのがメジャーですから、日本のように球筋が綺麗なフォーシームはほとんど投げてこない。それにすとんと落ちるフォークボールよりも、チェンジアップを投げる投手が多い。そういった日本とアメリカの投手の違いに、当初は戸惑っていましたね」

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